東京電力ホールディングス(東電HD)と日産自動車は2017年12月13日、電気自動車(EV)を活用したVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)実現に向けた実証実験を実施すると発表した。今回の実証実験では、EVユーザーに電力需要が少ない時間帯を通知し、その時間帯にEVへ充電したユーザーに対価を支払うという内容。通知を受けたEVユーザーのうち、どれくらいのユーザーが充電時間をずらして指定の時間に受電するかを検証する。この値によって、EVが大量普及したときに、調整力としてどれくらい利用できるかを予測できるという。実験には日産自動車の商用EV「e-NV200」のモニターである東電HD社員30人と、日産自動車のEV「LEAF」にユーザーである日産自動車の社員15人の合計45人が参加する。
図 今回の実証実験には業務用EV「e-NV200」(左)と、「LEAF」(右)が参加する
出所 日産自動車
実験では、東電HDから実験参加者が持つスマートフォンに時間帯情報を通知する。時間帯情報の受信には、充電スタンド検索機能を提供するスマートフォンアプリ「EVsmart」を使用する。ユーザーは東電HDから通知を受けた時間帯を確認し、アプリ画面で「充電予約」ボタンを押せば、その時間に自動的に充電が始まる。予約の情報は東電HDに届き、日産自動車のテレマティクスシステムで車両を遠隔制御し、指定の時間に充電を始める。スマートフォンアプリもテレマティクスシステムも既存のものを利用するため、この実験のために大がかりなシステムを作る必要はないという。
図 今回の実証実験の概要。東電HDが提供する情報を見て、充電予約ボタンを押すと、指定の時間に充電が始まる
出所 日産自動車
東電HDは今後、この実験で使用するシステムを、さまざまな自動車メーカーのあらゆる電動車両に対応するよう開発を進めるとしている。さらに調整力をより大きくするために、EVから住宅に電力を供給するV2H(Vehicle to Home)などの機能を持つ充放電装置への対応も進める方針を示している。