九州電力は2018年5月31日、電気自動車(EV)内蔵の蓄電池を電力系統に接続して充放電するV2G(Vehicle to Grid)技術を活用して電力需給を調整する実証事業を開始すると発表した。この事業にはEVを販売している日産自動車や三菱自動車工業のほか、一般財団法人電力中央研究所と三菱電機が協力する。充放電スタンドに接続したEVが内蔵する蓄電池にに充電するだけでなく、放電することで電力系統の需給調整にどれほど活用できるかを検証する。実証事業は2018年6月から始める。
図 今回の実証事業で使用する機器の構成
出所 日産自動車
今回の実証の大きな目的の1つは、日本中に広がり、今も増え続けている太陽光発電所や風力発電所が発電する電力を吸収する手段としてV2Gを有効に活用する可能性を探るという点にある。
実証に当たってはまず、V2Gの機能を持たせた充放電ステーションを設置し、その機能を検証する。そして、複数の充放電ステーションを統合制御するV2Gシステムを構築し、充放電制御量を指令する機能や充放電実績データを蓄積する機能を検証する。そして、EVの充放電量をどの程度制御でき、電力系統安定にどれほど活用できるかを評価する。
今回の実証事業は、経済産業省資源エネルギー庁の補助事業である「平成30年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業(V2G アグリゲーター事業)」の採択を受け、補助金を活用して実施する。