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ソーラーフロンティア、研究開発中のCIS薄膜太陽電池セルで変換効率の世界記録を更新

2017/12/20
(水)
SmartGridニューズレター編集部

ソーラーフロンティアは、NEDOと共同で研究開発中のCIS薄膜太陽電池セルがエネルギー変換効率22.9%を記録し、世界記録を更新したと発表した。

ソーラーフロンティアは2017年12月20日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で研究開発中のCIS(Copper、Indium、Selenium:銅、インジウム、セレン)薄膜太陽電池セルがエネルギー変換効率22.9%を記録し、世界記録を更新したと発表した。この記録は2017年11月に、産業技術総合研究所(AIST)で確認したという。

図 世界記録を更新したCIS薄膜太陽電池セル

図 世界記録を更新したCIS薄膜太陽電池セル

出所 ソーラーフロンティア

記録を更新したのは面積およそ1cm2の太陽電池セル。この記録はCISに限らず、薄膜太陽電池全体の世界記録になるという。これまでの世界記録はドイツZentrum für Sonnenenergie- und Wasserstoff-Forschung Baden-Württemberg(ZSW:バーデン・ヴュルテンベルク州太陽エネルギー水素研究センター)が2016年2月に面積0.5cm2のセルで記録した22.6%だった。

大まかに言うとCIS太陽電池は5層構造となっている。表面から透明導電膜、バッファ層、光吸収層、裏面電極、ガラス基板の5層だ。今回の記録は光吸収層の改良と、光吸収層の表面処理の改善などで達成した。光吸収層はCIS太陽電池が発電する部分であり、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を主原料とする薄膜だ。光吸収層はp型半導体となっており、その上にバッファ層を重ねることでpn接合を作ることで、電力を取り出している。

NEDOは今回の記録更新を「NEDOプロジェクトが掲げる発電コスト目標(2020年に14円/kWh、2030年に7円/kWh)の達成に向けた大きな一歩」と高く評価するコメントを出している。もともとCIS太陽電池は、競合他社の多くが製造しているシリコン結晶を使用した太陽電池よりも低いコストで製造できるという特徴がある。CIS太陽電池で高い変換効率を発揮する製品が登場すれば、発電コストは大きく下がる。

ソーラーフロンティアは、研究開発の成果を製品の生産現場に導入し、実発電量が高く、発電コストの面で競争力がある製品を供給していく方針を示している。


■リンク
ソーラーフロンティア
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

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