ソーラーフロンティアは2016年12月6日、タイのデルタエレクトロニクスが同社の太陽光発電パネルを導入したと発表した。デルタエレクトロニクスは台湾デルタ電子の子会社で、今回導入したパネルは工場の屋根に設置した。合計出力は510kWで、発電した電力はすべて工場の運営に利用する。ソーラーフロンティアは年間発電量を793MWとなると予想している。
図 デルタエレクトロニクスの工場屋上に設置したソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽光パネル
出所 ソーラーフロンティア
パワーコンディショナーにはデルタ電子が開発した、世界最小、最軽量のものを選んだ。このパワーコンディショナーは太陽光発電パネルの能力を引き出す能力に優れており、業界でも最高レベルの発電効率を達成できる。
ソーラーフロンティアが開発、販売している太陽光発電パネルは他社のものとはまったく違う材料を使っている。他社製品はシリコンを使っているものがほとんどだが、ソーラーフロンティアは(CIS:Copper、Indium、Selenium)の化合物の薄膜で発電する構造になっている。この種のパネルは、公称出力値が低くなる傾向があるが、年間発電量で比較すると、他社の製品とほぼ変わらない性能を発揮する。ときには、他社製パネルを超える性能を発揮する。
公称出力値からは予想しにくい性能を発揮する理由として、2点挙げられる。1つ目は、CIS薄膜太陽光パネルは、高温環境下に強いという点。シリコンを利用した太陽光発電パネルは、パネル表面の温度が上がると、発電効率が下がってしまう。CIS薄膜太陽光パネルは、こうした環境でも着実に発電することで発電量を増やしている。
2つ目は、日陰や曇天など、日照量が少ない環境でも着実に発電するという点。太陽光発電所を設置する際には、日影の影響を避けるために、周辺環境を綿密に調べる。これは、一般的な太陽光発電パネルが日陰に弱いからだ。
ソーラーフロンティアによると、今回の例はCIS薄膜太陽光パネルの実力と特性をデルタエレクトロニクスがよく知っていたから実現したものだという。タイは赤道に近いので、夏季になると気温がかなり上がる。また、雨季になるとスコールが降り、日照量が少なくなる。CIS薄膜太陽光発電パネルの特性によく合う気象条件だ。ソーラーフロンティアはこれまでにも中東など、高温になる地域での設置実績があるという。
ソーラーフロンティアは今後、太陽光発電所の案件を精査し、CIS薄膜太陽光パネルの実力を活かせる案件を選んで、パネルを供給していくとしている。
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ソーラーフロンティア