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日本アジア投資らが岩手県でメガソーラー、小型パワコンを分散配置して発電効率を追求

2018/01/23
(火)
SmartGridニューズレター編集部

日本アジア投資とスマートソーラーは、岩手県一関市に建設中だったメガソーラー「岩手一関ソーラーパーク」が完成し、商業運転を開始したと発表した。

日本アジア投資とスマートソーラーは2018年1月22日、岩手県一関市に建設中だった大規模太陽光発電所(メガソーラー)「岩手一関ソーラーパーク」が完成し、商業運転を開始したと発表した。設計・施工監理はスマートソーラーが担当した。完成後の運営は合同会社SS岩手一関が担当する。

図 「岩手一関ソーラーパーク」の全景

図 「岩手一関ソーラーパーク」の全景

出所 日本アジア投資

建設用地は丘陵となっている山林であり、周囲を農地が囲んでいたため、土地造成時には農地との共生を大きなテーマに、工夫を加えた。まず、メガソーラー周辺にある農地と多数のため池への流入水量を変えないように、メガソーラーの敷地を3分割し、それぞれに調整池を作った。これで、農地やため池への流入水量が建設後もほぼ変わらなくなった。さらに、流水中の不純物を沈殿させて取り除くために、水路を2段階設計とし、濁水の流出を防いだ。

加えて、用地が南から北に向かって下がっている「北下がり」となっており、日照条件が不利であるため、電力系統と架台に工夫を加えた。電力系統では、メガソーラーに配置した太陽光発電モジュール群をマス目状に分割して、小型のパワーコンディショナー40台を分散配置した。それぞれのパワーコンディショナーには、つながっている太陽光発電モジュールにかかる影や方角、傾斜角などの条件から発電量が最大になる電流と電圧の組み合わせを算出し、それぞれのパワーコンディショナーに設定している。さらに、発電した電力を確実に送り出すため、メガソーラーの各地点に昇圧トランスを分散配置している。

さらに、北下がりという不利な条件を克服するために、スマートソーラーが開発した独自の架台「スマートアレイ」を採用した。これは、太陽光発電モジュールの設置位置を3次元(縦、横、高さ)で調整可能な架台だ。この架台を使って出力275Wの太陽光発電モジュールを8904枚設置した。

合計出力は約2.44MW(2440kW)。日本アジア投資とスマートソーラーは年間発電量をおよそ2.45GWh(245万kWh)と見込んでいる。一般世帯の年間発電量に換算するとおよそ800世帯分となる。発電した電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して東北電力に全量売電する。売電単価は36円(税別)。

スマートソーラーは今後、分散型の太陽光発電システムや、蓄電池併設の太陽光発電システムの開発に挑むとしている。


■リンク
日本アジア投資
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