東京電力ホールディングス(東電HD)と日本電信電話(NTT)は2018年4月18日、業務提携すると発表した。折半出資で新会社「TNクロス株式会社」を設立し、7月から共同事業を始める予定だ。新会社はNTTの通信ビルなどの設備を利用して、新しい電力サービスを提供する。
図 NTTの設備を活用して電力サービスを提供する
出所 日本電信電話
現時点では、新会社は主に2種類のサービスを提供する予定だ。1つ目は、NTTの通信ビルをVPP(Virtual Power Plant)として活用するサービス。現在、通信ビルには通信機器のバックアップ電源として鉛蓄電池を設置しているが、これを蓄電容量が大きいリチウムイオン蓄電池に置き換える。バックアップ電源として利用しながら、余裕が生まれた分を電力調整に活用する。NTTが調整力の売り手となる形だ。災害時はリチウムイオン蓄電池に充電した電力を、非常用電源として提供する。
もう1つは直流電力網の構築だ。NTTの通信ビルを地域の核として、直流電力網を構築し、太陽光発電など再生可能エネルギーを効率良く使える設備を整える。サーバーや通信機器などの電気設備に直流の電力を提供するという狙いもある。これらの設備は、交流から直流に変換して電力を利用しているが、変換時に電力の損失が発生する。直流で電力を提供すれば、損失を抑えて、効率良く電力を利用できるというわけだ。そして、従来の交流に加えて、直流でも電力供給を受けることで、交流側の停電対策となる。
東電HDとNTTは今後、両社が持つ設備と知見を連携させ、他企業や自治体の協力も得て、新しい電力サービスを開発、提供する方針を示している。事業を企画した後に、実証を進め、事業化の見通しが付いたものを順次提供していく予定だ。