TISは2018年11月26日、VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)構築を支援するクラウドサービス「エネLink VPP+」の提供を開始した。VPP事業の立ち上げから、VPP実証事業などに必要なソフトウェア群をクラウドから提供する。
図 黄色い枠の中が「エネLink VPP+」が提供する機能群
出所 TIS
エネLink VPP+は、大きく3つの用途に対応する。1つ目は、電力会社が電力需要と供給のバランスを維持するために、発電設備や定置型蓄電池などの「調整力」を公募する「調整力公募」。この用途では送電事業者が送電周波数調整のための調整力を公募する例にも対応する。2つ目は、この調整力を時価で取引する調整力市場への対応だ。どちらも、発電設備や定置型蓄電池、電気自動車(EV)などを仮想的に束ねたVPPを構成して対応する。
もう1つは、経済産業省の補助金事業であるVPP実証事業。アグリゲーションコーディネータからの要求を受け取って、VPPを構成する機器の運転を制御して提供可能な電力量を提示し、電力を提供する。どの用途で使う場合も、VPPを構成する機器の遠隔制御と、所有者への使用料金精算など、VPPを運用するために必要な業務を自動化してくれる。
今回TISが提供を始めるエネLink VPP+は、韓国I-ON Communicationsが開発したリソースアグリゲーター向けソフトウェア「LAMS」を基に、TISが日本市場で守るべき制度や、日本の顧客からの要望に合わせて改造したもの。さらに日本のSassorが開発した、蓄電池を制御するAI(人工知能)「ENES」を組み合せて、日本国内のリソースアグリゲーター向け機能を実装したものだ。ちなみに、LAMSは韓国では多くの導入実績があるという。
TISは今後、電力を市場取引する「需給調整市場」に対応する予定。同社がすでに提供している企業向け電力需給管理サービス「エネLink Balance+」と連動させて、企業における電力需要をより精密に管理するだけでなく、可能なときには市場で売買することで、電力にかかるコストを最小化する。
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TIS