九州電力、イーレックス、日産自動車の3社は2018年10月26日、法人顧客を対象に電気自動車(EV)内蔵のリチウムイオン蓄電池を活用して最大需要電力(デマンド)を削減する仕組みの検証を2019年1月から開始すると発表した。使用するEVは日産自動車の「LEAF」。内蔵リチウムイオン蓄電池の蓄電容量は40kWhだ。
図 日産自動車のEV「LEAF」
出所 日産自動車
今回の検証では、法人顧客の拠点にLEAFと充放電器を設置し、内蔵リチウムイオン蓄電池への充放電を制御することで、顧客のデマンド削減を狙う。電力需要が少なく単価が安い夜間に充電し、空調機器による電力需要が上昇するピーク時間帯にEVに充電した電力を利用する。これで、ピーク時に電力会社からの受電量を減らすことができ、1年間の電力基本料金を決める「デマンド」の値を抑えることができる。
今回は九州電力が顧客企業の電力消費データを分析し、デマンド削減効果を検証し、事業化を見据えて可能性を評価する。イーレックスは顧客企業の車両用途によって、この仕組みがどれほど受け入れられるのかという点と、顧客企業の満足度を評価する。さらに、ガソリン車とEVを比較して、車両関連コストがどれほど異なるのかを検証する。日産自動車は自動車からビルへの電力供給(V2B:Vehicle to Building)時に顧客がEVをどのように使用するのかを確認する。将来は、再生可能エネルギー発電所の発電状況や電力需給バランスに応じてEVに充放電して送電系統を安定させることも検討しているという。