三菱自動車工業は2017年10月19日、同社のプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」を利用した電力系統安定化の実証実験をオランダ・アムステルダム市で開始したと発表した。今回の実証実験はヨーロッパ最大の電気自動車(EV)充電ステーション網を運営するオランダNewMotion社と、オランダ国営の送電事業者であるTenneT社と共同で実施する。
実験では、NewMotion社がアムステルダム市内の過程や企業オフィスに新たにV2G(Vehicle to Grid)に対応した充放電ステーションを10台設置し、そのステーションにアウトランダーPHEVを接続する。それぞれのアウトランダーPHEVに充電した電力を予備電力市場に供給できるようにし、電力周波数調整や電力不足への対応に活用する。ちなみにアウトランダーPHEVは蓄電容量12kWhのリチウムイオン蓄電池を電源として内蔵している。そして三菱自動車工業はオランダでアウトランダーPHEVを累計で2万5000台以上販売しているという。
図 充放電ステーションとアウトランダーPHEV
出所 三菱自動車工業
NewMotion社が設置する充放電ステーションは、イタリアEnel社が開発したものを採用する。そしてV2G向けの制御ソフトウェアはアメリカNuvve社が開発したものを使う。
図 今回の実証実験に関わる企業の相関図
出所 三菱自動車工業
NewMotion社のCEOを務めるSytse Zuidema氏は「現在私たちは、1人ひとりの消費者がCO2排出量削減で環境保護に貢献するだけでなく、同時に金銭的利益を得られる方法について研究している。V2Gの技術が一般的なものになれば、再生可能エネルギーをより多く利用できるようになるだろう。そして電気自動車やプラグインハイブリッド車を所有する消費者が、自動車を使って利益を上げる機会を作ることができる」と、今回の実証実験が、電気自動車やプラグインハイブリッド車の所有者にも利益をもたらす可能性があることを強調している。三菱自動車工業はこの実証実験を通して、車載蓄電池を活用した新たな事業を創出することを目指すとしている。