セブン‐イレブン・ジャパンとトヨタ自動車は2018年6月6日、セブン‐イレブンの店舗と物流網にトヨタ自動車の技術を導入してCO2排出量を削減するプロジェクトを2019年秋から開始すると発表した。両社は2017年8月にセブン‐イレブンの店舗や物流網で消費するエネルギーの節約やCO2排出量削減の方法について検討を続けていたが、具体的な内容が固まり、プロジェクトが開始した。
図 トヨタ自動車の技術を導入した、セブン‐イレブンの店舗のイメージ
出所 セブン‐イレブン・ジャパン
このプロジェクトではセブン‐イレブンの店舗に定置型の純水素燃料電池や、ハイブリッド車で使い古した蓄電池を集積した定置型蓄電池を導入し、これらの機器を店舗ビルのBEMS(Building Energy Management System)で制御して、店舗で使用する電力のうち、再生可能エネルギー由来のものと、水素で発電したものの比率を高めることを狙う。その結果、店舗で使用する電力のうち電力会社から買電する分が減り、CO2排出量を減らせる。また、水素精製に必要な電力は再生可能エネルギー由来の電力でまかなう。
店舗に設置する定置型燃料電池はトヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」で使用している燃料電池セルを利用したもので、トヨタ自動車が製造したものだ。出力は約10kW。同じく店舗に設置する定置型蓄電池は、ハイブリッド車内蔵の蓄電池のうち、使い古しのものを集積したものだ。トヨタエナジーソリューションズが製造する。蓄電容量は1台当たり10kWhで、複数台を連結して使用することもできる。
図 店舗に設置する定置型燃料電池(左)と、定置型蓄電池(中)。右は定置型蓄電池の内部
出所 トヨタ自動車
店舗にはさらに太陽光発電システムと、電気自動車用充電器を設置する。この充電器は車両に充電するだけでなく、車両が内蔵する蓄電池から電力を取り出す機能も備えている。災害時は車両から店舗に電力を供給して店舗の営業を継続させる。
物流網には、排ガスを一切出さない燃料電池トラックを導入する。この車両は店舗への配送に使用する。MIRAIの燃料電池セルを利用した車両で、出力は最大で155馬力。冷凍車仕様で、荷室を冷凍する電力も燃料電池で発電する。水素タンクは3本搭載しており、合計でおよそ7kgの水素を充填できる。満充填状態で、およそ200kmの連続走行が可能だ。
図 セブン‐イレブン・ジャパンが導入する燃料電池トラック
出所 トヨタ自動車
店舗に設置する機器は、2019年秋に導入を始める予定だが、導入店舗は検討中としている。配送用の燃料電池トラックは2019年春に首都圏に投入する予定だ。
セブン&アイグループは、2030年までに店舗での再生可能エネルギーの利用比率を20%まで上げ、CO2排出量を2013年度比で約27%削減する目標を掲げている。トヨタ自動車は今回のセブン‐イレブン・ジャパンとのプロジェクトでエネルギー消費量削減やCO2排出量削減に協力しながら、定置型燃料電池や燃料電池トラックなどの運用を通して新たな技術の実証を進める方針を示している。