日本工営は2018年6月28日、ベルギーYusoと共同で特別目的会社「Ruien Energy Storage NV」を設立したと発表した。この会社では大規模蓄電システムを活用して、電力系統の周波数を調整するサービスなどの提供を計画している。
図 新会社が活用する大規模蓄電システムのイメージ
出所 Yuso
新会社はベルギーに出力25MW(2万5000kW)の蓄電システムを構築して電力系統に接続し、送電周波数が乱れるときに電力を供給する「アンシラリーサービス」を提供する計画だ。さらに、電力価格が安価な時間帯に充電し、高価な時間に放電することで利益を得る「アービトラージ」事業の開発も視野に入れている。年内には設計などを開始し、2020年初旬にはサービス提供を始める予定だ。
日本工営は、独自開発した蓄電池制御システム「NK-MUS」を利用して、2018年2月からイギリスでアンシラリーサービスを提供している。またYusoはベルギー、オランダ、フランスの3国でアグリゲーター事業を営んでおり、周波数調整だけでなく電力の市場取引についての知見を持っている。
新たに建設する大規模蓄電システムについては、日本工営が設計、調達、施工(EPC:Engineering、Procurement、Construction)とプロジェクトの保守など技術的な管理を担当し、Yusoは蓄電システム完成後のオペレーションを担当する。日本工営は、アンシラリーサービスの提供が始まっているヨーロッパで、その制度から技術、事業運営のノウハウを獲得したい考えだ。日本でも2020年の発送電分離を前に、仮想発電所(VPP)などの市場拡大が予想できる。日本工営はヨーロッパで知見を取得して周波数調整やデマンドレスポンスの事業を展開することを狙っている。