Volkswagenは2018年12月27日(中央ヨーロッパ時間)、電気自動車(EV)用の簡単に設置できる急速充電器を発表した。この充電器は蓄電容量360kWhのリチウムイオン蓄電池を内蔵しており、この蓄電池に充電した電力をEVに急速充電する。100kWの直流電力を利用して、平均17分で1台のEVに充電できるという。
図 Volkswagenが開発した蓄電池内蔵のEV急速充電器。フォークリフトで運んできて置くだけで使える
出所 Volkswagen
EVに電力を供給するコネクタは直流を2本、交流を2本備えており、同時に4台に充電可能だ。360kWhの蓄電池に満充電した状態で、最大15台のEVに充電できる。内蔵蓄電池の残り電力量が20%を切ったら、充電済みの充電器を運んできて入れ替えれば、引き続き充電サービスを提供できる。
設置場所に電源があれば、この急速充電器に電源を接続して引き続き使うこともできる。交流30kWの電源を接続でき、電源から受電しながら内蔵する蓄電池に充電する。このように簡単に設置して運用できるため、大規模イベント開催時など、大量の急速充電器が必要になったときにすぐに設置でき、必要なくなれば簡単に撤去できる。恒久的に使う場合も、手間とコストがかかる工事が必要なく、置いて電源を接続するだけで使えるので、低コストかつ短時間で設置できる。
この急速充電器は、Volkswagen GroupのEVが共用する予定の車台「Modular Electric Toolkit」の内蔵蓄電池を使用している。そのため、簡単に内蔵蓄電池を拡張できるほか、EVで使用済みとなった蓄電池の再利用にも役立つとしている。
図 Volkswagen GroupのEV用共通車台「Modular Electric Toolkit」
出所 Volkswagen
Volkswagenは、この急速充電器の内蔵蓄電池に再生可能エネルギーで発電した電力を充電する構想も持っている。Volkswagen Groupで、部品の技術開発を統括しているMark Möller氏は「EVがCO2を排出しない車両と本当に言えるのは、再生可能エネルギーで発電した電力を充電したときだけだ。今回Volkswagenが開発した急速充電器は、業界で初めて再生可能エネルギーによる電力をEVに充電可能にするものだ」と語る。現在のところ、この急速充電器は太陽光や風力で発電した電力を充電できる。
Volkswagenは今回発表した急速充電器を2019年の前半に、本社があるニーダーザクセン州ヴォルフスブルク市に設置して検証する。2020年以降は、ほかの都市や地域にも設置していく予定だ。
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