三菱電機は2016年10月12日、直流送電システム事業への参入を明らかにし、製品検証のための「HVDC検証棟」を建設することを発表した。検証棟は2018年上期に稼働を始める予定。
図 三菱電機が建設する「HVDC検証棟」
出所 三菱電機
直流給電事業参入にあたり、同社が採用する方式は「自励式直流送電」。この方式は比較的新しい方式で、かつては「他励式」が主流だった。他励式では、交流と直流を変換する際に、変換器容量に見合った発電機が必要だが、自励式はこれを不要としたものだ。
三菱電機によると、直流送電システムの世界の市場規模はおよそ5000億円になるという。そして、今後は年率7%程度の成長が見込めるとしている。実際、洋上風力発電装置や太陽光発電装置と容易に連系できるため、再生可能エネルギーの普及に合わせて、直流送電システムの需要は伸びると考えられる。三菱電機は、堅調に成長する直流送電市場に、比較的導入が容易な自励式直流送電で参入するわけだ。
HVDC検証棟を建設するのは、同社が兵庫県尼崎市に保有する「系統変電システム製作所」の敷地内。一部が2階建てとなっている作りで、延床面積は約1700m2。施設内では最大で50MWの電流を流して検証することができる。
自励式直流送電システムについては、IEC(国際電気標準会議)が国際規格を定めており、製品化に当たっては第三者の認証を受けることを義務付けている。今回建設する施設は、この第三者による認証を受けることを目的としている。具体的には、機器の起動、停止、潮流の反転、故障時の運転継続性能などを評価する。
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三菱電機