NVIDIAは2017年3月7日(米国時間)、組み込み機器向けのボードコンピュータの新製品「NVIDIA Jetson TX2」を発表した。第2四半期に供給を始める予定。1000枚以上発注した場合の価格は399ドル。
図 NVIDIA Jetson TX2。右に並んでいる単3形乾電池と比べると、その小ささが分かる
出所 NVIDIA
Jetson TX2は、2015年11月にNVIDIAが発表した「NVIDIA Jetson TX1」の後継となる製品。Jetson TX1は、わずか50×87mmのカードにクアッドコア(ARM Cortex-A57コア)のARMプロセサと、MaxwellアーキテクチャのGPU(256個のコアを集積)に加えて、動画のエンコード/デコード回路、ギガビットイーサネットのインタフェースや無線LAN、Bluetoothの通信機能などを詰め込んだ、ディープラーニング環境として動作するボードだ。
NVIDIAは、後継となるJetson TX2はJetson TX1の2倍の性能を発揮し、電力消費効率も2倍優れているとしている。ボードのサイズは変わらないが,搭載するプロセサやGPUが大きく変わった。プロセサはNVIDIAが独自開発した64ビットARMコア「Denver 2」を2つと、ARMの64ビットコア「Cortex-A57」を4つ集積したものを搭載する。GPUはNVIDIAの最新GPUアーキテクチャである「Pascal」のコアを256個集積したものだ。消費電力量は7.5W以下に収まるという。
OSはNVIDIAが無償で提供する「Linux for Tegra」を利用できる。さらに、「JetPack 3.0」と呼ぶソフトウェア開発キット(SDK)が付属する。JetPack 3.0には、NVIDIAのGPUに向けたコンパイラやライブラリをまとめた統合開発環境「CUDA」や、NVIDIAが開発した推論エンジン「TensorRT」、CUDAを利用したニューラルネットワークのライブラリである「cuDNN」、NVIDIAが開発した画像認識ライブラリ「VisionWorks」のほか、OpenGL、OpenGL ESなどの業界標準のAPIドライバが入っている。
NVIDIAはJetson TX2の用途として、工場の製造ラインで動いているロボットや、監視カメラ、ドローンなどを想定している。IoTの末端、つまり「エッジ」により高性能なディープラーニングの機能を持たせることが可能になるとしている。
Jetson TX2の量産販売に先立ってNVIDIAは、開発者向けに「NVIDIA Jetson TX2 Developer Kit」を販売する。USBやHDMI、Ethernetなどの端子を備える基盤にJetson TX2をはめ込んだもので、Jetson TX2が搭載するフラッシュメモリにOSや開発環境をインストールした状態で提供する。
図 NVIDIA Jetson TX2 Developer Kit
出所 NVIDIA
アメリカとヨーロッパではすでにJetson TX2 Developer Kitの予約受付が始まっており、3月14日から順次出荷する予定となっている。価格は599ドル。ほかの地域では数週間後に予約受付が始まる見込みだ。
■リンク
NVIDIA