豊田通商は2017年11月6日、愛媛県松山市に建設中だった木質バイオマス発電所「松山バイオマス発電所」が完成したと発表した。2018年1月から営業運転を始める予定。発電所の建設と運営は「合同会社えひめ森林発電」が担当する。この会社は豊田通商のグループ会社であるエネ・ビジョンが2015年1月に設立したものだ。
図 「松山バイオマス発電所」のボイラー外観
出所 豊田通商
松山バイオマス発電所では、バイオマス燃料を階段式ストーカ炉で燃焼させ、その熱で作った水蒸気でタービンを回して発電する。燃料には現地の山林で発生する未利用材や間伐材をチップ状に加工したものと、海外から輸入したパームヤシ殻(PKS:Palm Kernel Shell)を1対1の比率で使用する。現地の間伐材や未利用材を使うことで、林業の活性化が期待できるという。合同会社えひめ森林発電は現地で収集できる未利用材、間伐材の比率を増やしたい意向を示しており、現地の森林組合連合会要望を出している。ちなみに今回建設したボイラーは現地の間伐材、未利用材の使用比率が100%になっても問題なく稼働するように設計してあるという。
図 「松山バイオマス発電所」における発電の流れ
出所 豊田通商
発電所の所在地は愛媛県松山市大可賀(おおかが)。最大出力はおよそ12.5MW(1万2500kW)。合同会社えひめ森林発電は、年間発電量をおよそ87GWh(8700万kWh)と見込んでいる。一般世帯の年間電力消費量にするとおよそ2万4000世帯分に当たる。設備利用率を計算するとおよそ79.5%。天候に関係なく長時間発電を続けられるという特徴が顕著に現れている。
発電した電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して全量を売電する。売電単価は、未利用材や間伐材で発電した分が1kWh当たり32円(税別)で、PKSで発電した分は1kWh当たり24円(税別)。豊田通商は売電先を公表していないが、2015年3月30日にあった愛媛県知事の記者会見で、知事が売電先を四国電力と明言している。