中部電力、東洋エンジニアリング、三菱日立パワーシステムズは2018年12月3日、木質バイオマスを原料とした純バイオジェット燃料を製造する技術の実証を目的とした設備の建設工事を開始したと発表した。この事業は、ジェット燃料燃焼時のCO2排出量削減を目指すもので、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」の委託を受けて実施する。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)も参加する。実証用設備は、中部電力の新名古屋火力発電所の敷地内に建設する。
図 純バイオジェット燃料の製造工程
出所 三菱日立パワーシステムズ
実証用設備では、中部電力が調達してきたバイオマス燃料を、三菱日立パワーシステムズのガス化技術と、東洋エンジニアリングの燃料合成技術、合成油改質技術などを活用してバイオジェット燃料を精製する。中部電力は設備運転のノウハウも供給し、精製した燃料はJAXAがその燃焼特性などを評価する。
実証用設備は、1日当たり0.7トンの木質バイオマスを処理し、1日当たり20リットルのバイオジェット燃料を精製する。設備の検証運転を実施しながら各種試験を実施し、その結果を見て、実用規模の設備を検討する。稼働率や効率が高く、低コストで調達できるバイオジェット燃料の製造技術確立を目指すとしている。
さらに、バイオジェット燃料と従来のジェット燃料を混合させながら、ジェット燃料の国際品質規格に適合させる設備の仕様と、運転方法、品質検査体制、出荷体制の確立も視野に入れている。
そのために、航空燃料生産の実績を持つ昭和シェル石油が協力して、製品化にも取り組む。NEDOは、2030年頃をめどにバイオジェット燃料を商用化することを目指している。
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