富士通フロンテックは2018年5月8日、照度が50lx(ルクス)まで下がった薄暗い環境でも光で発電して動作するセンサー端末を開発したと発表した。ちなみに50lxは、オフィスビルの屋内非常階段程度の明るさになる。低照度でも発電する太陽光発電セルは富士通研究所が開発したもので、富士通フロンテックがセンサー端末内部の電源制御技術を開発し、低照度の環境でも、太陽電池セルの電力のみで動作可能とした。
図 富士通フロンテックが開発したセンサー端末の試作機
出所 富士通フロンテック
新開発のセンサーはさらに、真っ暗な環境でも動作可能とする機能を備えている。本体内部に電気二重層キャパシタを搭載しており、太陽光発電セルで発電した電力をキャパシタに充電するのだ。これにより、夜間に消灯して真っ暗になるような施設でも、最長でおよそ30時間は光がない状態でも動作する。
センサー端末本体は、温湿度センサー、照度センサーを搭載しており、Bluetooth 4.2(Bluetooth Low Energy)の通信機能を備えている。顧客に提供する際は、可能ならばセンサーを顧客が希望するものに入れ替えるとしている。
そして富士通フロンテックは、このセンサーを利用して周囲の環境の温湿度を測定する実証実験を実施している。富士通ホーム&オフィスサービスが中心になって富士通グループで運営している植物工場「会津若松Akisaiやさい工場」の一部区画に、今回開発したセンサーを設置している。富士通フロンテックは、今回開発したセンサーがわずかな光で発電して動き続け、電池交換が不要という特徴を挙げ、植物工場の中でも人の出入りをなるべく減らしたいクリーンルームに適しているとしている。
富士通フロンテックは、このセンサーを工場や施設などにける温湿度管理や、冷凍冷蔵食品や医薬品の保管輸送時の温湿度管理など、薄暗い環境になりやすい状況で活用できるだろうと考えている。2018年5月末から、今回開発したセンサーの評価器貸し出しを始め、2018年度の上期中に一般提供を始める予定だという。また将来は、このセンサーを活用したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムやIoTサービスも提供するとしている。
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富士通フロンテック