富士通は2017年1月12日、工場や工事現場などで働く作業員の健康状態を把握することを可能にするサービス「ユビキタスウェア 安全管理支援ソリューション」を2月上旬から提供すると発表した。これまでも提供していたサービスだが、利用者に合わせてソフトウェアを開発するなどしてシステムを構築して提供していた。今回はデータをCSV形式で出力するなどの機能を追加して、富士通が運営するデータセンターで動作するソフトウェアを利用するSaaS(Software as a Service)の形態で提供する。
厚生労働省が2016年11月に公開したデータから、業種別の労働災害発生件数を見ると、製造業が最も多いという結果になっている。続く2位は建設業だ。炎天下の屋外や、火力などの高温の熱源がある場所での作業が多くなるので、熱中症を発症する作業員が多くなり、不安定な足場で作業することから転倒事故も多く発生している。
ユビキタスウェア 安全管理支援ソリューションでは、作業員一人ひとりが装着するセンサーからのデータで熱中症など体調不良に陥る兆候をつかむ。具体的には脈拍や温湿度を計測できる「バイタルセンシングバンド」と、位置情報の検知に利用する「ロケーションバッジ」を装着する。ロケーションバッジは装着している人が転倒したことを検知する機能も持つ。
バイタルセンシングバンドとロケーションバッジが検知するデータは、現場に設置するゲートウェイを通してインターネット経由で富士通のクラウドに送信する。クラウド側では、温湿度や脈拍の変化を富士通独自のアルゴリズムで解析して、作業員一人ひとりの「熱ストレスレベル」と「身体負荷レベル」を推定する。
図 ユビキタスウェア 安全管理支援ソリューションの稼働イメージ
出所 富士通
熱ストレスレベルは日本生気象学会の「WBGT(暑さ指数)と気温、湿度との関係」を基に、温湿度と脈拍の変化を分析して、「安全」「熱ストレスレベル(低)」「熱ストレスレベル(中)」「熱ストレスレベル(高)」の4段階で推定する。
身体負荷レベルは、有酸素運動時の適正な心拍数を示すさまざまな指標を基に、脈拍の変化から推定する。推定結果は「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の5段階で評価する。
さらに、ロケーションバッジが内蔵する加速度センサーの値の変化から、転倒事故や転落事故が発生したことを即座に検知することが可能になる。
熱ストレスレベルや身体負荷レベルが事前に設定したしきい値に達したときや、転倒、転落事故が発生したときは管理者にアラームで知らせる。これにより、熱中症になりかけている作業員が熱中症を発症して作業不能になる前に、給水や休憩を命じたり、転落事故後に迅速な対応を取ることで、災害を未然に防ぐ事ができる。災害が発生してしまっても、より深刻なものになることを防げる。
今回の機能追加では、管理者が見るユーザー・インターフェイスを改良した。具体的には作業員一人ひとりをバラバラに管理するのではなく、現場ごとに作業員をまとめて、管理できるようになった。作業員の異変を示すアラームが鳴ったときに、異変が発生した作業員の位置や、対応状況を現場ごとに把握できる。
図 作業員の状態を現場ごとに表示した画面
出所 富士通
現場の中でもグループを設定して、グループごとに作業員の状態を確認できるようにも鳴った。また、アラームを鳴らすときの条件を細かく設定できるようになり、現場の状況に応じた運用ができるようになった。
さらに、アラーム発生履歴や対応状況、現場の環境など、取得したデータを項目別に並べたCSVデータを出力する機能も加わった。富士通はこの機能が報告書の作成や、さらなるデータ分析に役立つとしている。
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富士通