図 『世界の再生可能エネルギー展望』の表紙 (全212ページ、2020年4月発行)
出所 https://www.irena.org/publications/2020/Apr/Global-Renewables-Outlook-2020
世界の160カ国および欧州連合(他に加盟手続き中が22カ国)が加盟している再生可能エネルギーに関する国際機関「IRENA(アイリーナ)」は、2020年4月、「Global Renewables Outlook : Energy Transformation 2050」(世界の再生可能エネルギーの展望:エネルギー変革2050」)を発表した(図)注1。
同レポートでは、2050年のパリ協定の実現を目指して、新型コロナ禍から経済回復政策を実施する場合には、国際協力のもとに、気候変動対策(脱炭素化)を同時に行うことが重要であると指摘している。さらに、「グローバルグリーンディールの方針」、すなわち「環境に大規模な投資を行うことにより、新たなグリーン産業の雇用と産業を育成する方針」のもとに、各国政府の協力が必要であることを強調し、2050年までのロードマップを示している。レポートの主な内容は次の通り。
- エネルギー関連のCO2排出量は、2010年以降、平均して毎年、年率1%で増加している。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、2020年に排出量が抑制される可能性がある。しかし、経済の回復によって、長期的なCO2排出量のリバウンドが考えられるため、この対策が重要である。
- 再エネ関連事業が注目されるため投資額が高まり、再エネ関係の仕事が増加する。具体的には、2050年までに世界で雇用が4,200万人に達し、現在の4倍になる。さらに、エネルギー効率対策に2,100万人、柔軟なシステム開発などに1,500万人の雇用が追加され、増大する。
- 2050年にCO2排出量のゼロエミッション(脱炭素化)を達成するためには、革新的な技術開発とともに、新しいビジネスモデルの開発・転換などが必要となる。
- COVID-19パンデミック後の回復策には、脱炭素化に向けて、柔軟な電力網の構築やエネルギー利用の効率化、電気自動車の利活用(充電)、エネルギー貯蔵、グリーン水素などや、長期的なエネルギー需要と気候の持続可能性に向けた技術投資などが含まれている。
注1 https://www.irena.org/publications/2020/Apr/Global-Renewables-Outlook-2020