図 世界の2050年に向けたGHG(温室効果ガス)排出量削減のイメージ
図右に示す「2050年〜」の太い矢印の場合、①2℃目標に相当する2050年70%削減では7兆ドル/年の追加費用が必要、②1.5℃努力目標に相当する2050年100%削減には、更に対策費用が必要(国連のIPCCの試算)。
出所 統合イノベーション戦略推進会議決定「革新的環境イノベーション戦略」、2020年1月21日
脱炭素化時代を迎え、「再エネの主力電源化」「デジタル技術を用いた強靭な電力ネットワークの構築」「低コストな水素サプライチェーンの構築」等々の課題が目白押しである。
特に気候危機対策として、パリ協定の実現に向けて2050年に室温効果ガス(GHC:Greenhouse Gas、CO2など)の排出量ゼロを目指す大幅な削減(図)は、人類最大の喫緊の課題となっている。当面の課題として、2021年11月に英国グラスゴーで開催されるCOP26(新型コロナ禍で延期)でも、2050年のGHC削減目標が大きな焦点になる。
このような背景の下、2019年6月に閣議決定された、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」注1に基づいて、2020年1月、社会的に実現可能な低コスト化を実現し、非連続なイノベーション(画期的な革新を生み出すこと)を創出するための「革新的環境イノベーション戦略」注2が策定され、この流れを受けて、2020年7月に「グリーンイノベーション戦略推進会議」注3が設立された。
同会議は、前述した「革新的環境イノベーション戦略」が着実に実行され最大限の成果を生み出すことを目的として、有識者や専門家による意見交換・情報共有を行うことになった(2020年12月まで)。
グリーンイノベーション戦略推進会議は、環境・エネルギーを取り巻く内外の情勢を共有し、2050年の技術確立を目指した全体構想の再整理を行うことを中心的課題としている。また、同会議の下にワーキンググループを設置し、月に1回程度の頻度で、個別の技術テーマについての現状把握や新たな技術の掘り起こしを行うとともに、今後の研究体制や社会実装などの議論が行われる予定となっている。
注1 https://www.env.go.jp/press/111781.pdf
注2 https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/siryo6-2.pdf
注3 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/index.html