日本政府は2020年10月、脱炭素社会の実現を目指す「2050年カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)」(2050年ネット・ゼロ)を宣言した。これを踏まえて、2020年12月25日、経済産業省が中心となり、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表した(全60ページ+14資料)。
2050年ネット・ゼロに向けては、温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取り組みが特に重要となる。グリーン成長戦略では、今後、成長が期待される14分野の重点産業(表参照)において高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員する。
表 2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた「14分野」の重点産業
出所 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」令和2(2020)年12月25日、
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012-2.pdf
例えば、電力部門の脱炭素化は大前提であり、再生可能エネルギーを最大限導入する。また、系統を整備してコストを低減しながら、変動出力を調整するために蓄電池を活用していく。
このグリーン成長戦略には、国際的に立ち遅れていた洋上風力産業をトップに位置づけ、自動車・蓄電池産業を成長戦略として育成していくことなどが盛り込まれている。
さらに、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた革新的な技術開発に対する継続的な支援を行う基金事業(仮称)として、予算2兆円(新規)が計上された(注)。具体的には、NEDOに基金を設け、2050年までのカーボンニュートラル実現に必須となる3要素の重点分野において、今後10年間、技術開発・社会実装に向けた研究開発プロジェクトを継続し支援する。
3要素とは、(1)電化と電力のグリーン化(次世代蓄電池技術等)、(2)水素社会の実現(熱・電力分野等を脱炭素化するための水素大量供給・利用技術等)、(3)CO2固定・再利用(CO2を素材の原料や燃料等として再利用するカーボンリサイクル等)。
注 https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/pdf/energy2.pdf