[ニュース]

European Energyが世界初となるeメタノールの商業生産を開始

石燃料由来の製品と比べカーボンフットプリントを最大97%削減
2025/05/15
(木)

世界初となるe-メタノールの商業生産を開始

 三菱HCキャピタル株式会社(以下、三菱HCキャピタル)のグループ会社で、再生可能エネルギー事業を展開するデンマークのEuropean Energy A/S(以下、European Energy)が、e-メタノールの供給を、2025年5月13日に同国で開始した。e-メタノールの商業規模での製造は、世界初だという。

図1 デンマークのオーベンローにあるe-メタノールの製造プラント

出所 European Energy Press release 2025年5月13日、「Kassø e-methanol facility officially inaugurated」

石燃料由来の製品と比べカーボンフットプリントを最大97%削減

 e-メタノールは、再生可能エネルギー由来の電力から製造するグリーン水素と、生物由来の二酸化炭素(バイオジェニック CO2)を合成したメタノールであり、従来の天然ガスを原料にするメタノールと比べ、低炭素である。さらに、脱炭素化が難しい船舶燃料や化学品・プラスチック原料として使用できる。

 European Energyのプラントで製造されたe-メタノールは、石燃料由来の製品と比較し、カーボンフットプリントを最大で97%削減するという。海運会社のA.P.モラー-マースクが輸送燃料として使用するほか、医薬品メーカーのノボ ノルディスク、玩具メーカーのレゴがプラスチック原料等として使用する予定である。
 レゴ・グループの最高執行責任者であるカーステン・ラスムセン氏は、「再生可能なeメタノールを調達することは、レゴ製品をより持続可能なものにし、二酸化炭素排出量を削減するという当社の目標の1つである」と述べ、「2025年後半には、1部のレゴパーツの製造にeメタノールを使用する予定だ」と続けた。

 e-メタノールの製造プラントは、デンマーク南部のオーベンローに開設した。同プラントは、304MWの太陽光発電設備と合計52MWの水電解槽を備えており、e-メタノールの年間最大生産能力は約4.2万トンとなっている。European Energyが開発し、三井物産と共同で運営しており、European EnergyグループのKassø MidCo ApS傘下にあるSolar Park Kassø ApSが所有している。同プラントの株式をEuropean Energyが51%、三井物産が49%保有している。

 European Energyは、欧州を中心に世界25か国で事業を展開しており、再生可能エネルギーを累計4.5GW以上の開発しているほか、65GW以上の開発・建設パイプラインを保有している。


参考サイト

三菱HCキャピタル株式会社 ニュースリリース 2025年5月14日、「European Energy A/S が次世代エネルギー「eメタノール」の供給を開始」

European Energy Press release 2025年5月13日、「Kassø e-methanol facility officially inaugurated」

 

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