2023年の国内環境産業市場規模は130兆3,312億円に
2023年における国内環境産業の市場規模が130兆3,312億円となり、過去最高を更新した(図1)。こうした調査結果を環境省が「令和6年度環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」にまとめ、2025年6月30日に発表した。同報告書では、環境産業は全産業の市場規模のうち約1割を占めるようになっており、日本の経済成長に与える影響が大きくなっているとしている。
図1 国内環境産業の市場規模の推移
出所 環境省 2024年6月25日、「令和6年度 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」
2050年には146兆7,531億円に拡大
環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書は、環境省が環境産業の動向を把握するため、その市場規模や雇用規模などの推計結果をまとめ、毎年公表しているもの。その令和6年度版では、環境産業を環境汚染防止、地球温暖化対策、廃棄物処理・資源有効活用、自然環境保全という4分野に分け、2023年時点の各種推計値に加え、2050年の将来推計を示した。
同報告書によれば、2023年の国内環境産業の市場規模は130兆3,312億円で、2022年の123兆408億円から5.9%増加した。また、2000年(62兆5,778億円)比では約2.1倍となっている。全産業に占める市場規模の割合も、2000年の6.6%から2023年には11.3%へと拡大した。将来の見通しについては、2023~2050年の年平均成長率(CAGR)は0.4%で、2050年には146兆7,531億円になると見込む(図2)。
図2 国内市場規模の将来推計
出所 環境省 2024年6月25日、「令和6年度 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」
2023年における分野別の市場構成比は、廃棄物処理・資源有効利用が64兆3,373億円と最も大きく、それに地球温暖化対策が続く。2050年時点の市場構成比も、廃棄物処理・資源有効利用が51.9%と最も大きな割合を占め、地球温暖化対策が続くと予測している。
2023年における環境産業市場の成長を牽引したのは地球温暖化対策の方である。2023年の同市場規模は41兆5,268億円で、2022年比で11.5%増加し、2000年の4兆3,017億円からは10倍近く拡大した。2023年における地球温暖化対策市場の拡大については、各国・地域での燃費規制やCO2規制を背景とした低燃費・低排出認定車(輸出分)の増加が影響した(図3)。
図3 地球温暖化対策分野の市場規模推移
出所 環境省 2024年6月25日、「令和6年度 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」
2023年の雇用規模は約292.2万人となり、前年比で0.3%の微減となった。ただし、2000年比では約1.5倍の水準を維持している(図4)。
図4 雇用規模の推移
出所 環境省 2024年6月25日、「令和6年度 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」
経済波及効果は約250.7兆円(前年比8.6%増)となっている。部門別に見ると、「低燃費・低排出認定車(輸出分)」の経済波及効果が最も大きく30兆9,335億円、次いで「建築リフォーム、リペア」(27兆48億円)、「次世代省エネルギー住宅」(19兆3,869億円)となっている。
環境産業の輸出入額については、輸出額が前年比19.5%増の約23.5兆円と大幅に増加し、2000年比では約13.3倍となった。輸入額も約5.6兆円(前年比7.3%増)と堅調に推移しており、環境関連の製品・サービスの国際的な取引が活発化していることがうかがえる。