[ニュース]

業界初のAI蓄電池制御サービス、シャープ

新FIT制度に合わせ売電と自家消費を自動制御
2025/09/30
(火)

新FIT制度に合わせAIが蓄電池制御

 シャープ株式会社(以下、シャープ)は、2025年10月1日に開始する新しい固定価格買取制度(FIT制度注1)に対応した、エネルギーマネジメントサービスの提供を開始する。新サービスでは、新FIT制度下で設置年数に応じて変動する買取価格に応じ、AI技術が蓄電池を制御して売電と自家消費を切り替える。同社のクラウドHEMS注2サービス「COCORO ENERGY」上で、無料にて提供する。新FIT制度に対応するサービスは、業界初だという。2025年9月24日に発表した。

図1 新FIT制度に対応した蓄電池のAI制御イメージ

出所 シャープ株式会社 ニュースリリース 2025年9月24日、「業界初、新FIT制度に対応したエネルギーマネジメントサービスを提供開始」

 

新FIT制度の買取価格に最適化

 2025年10月1日に改定される住宅用太陽光発電のFIT制度は、従来の10年固定の買取価格から、設置後4年間と5年目以降の6年間で価格が変動する「2段階制」へ移行する。初期の4年間は比較的高単価での電力買取が行われ、5年目以降は市場価格に連動した価格での買取となる。

 新サービスは、この制度変更に対応するものだ。買取価格が高い設置後4年間は「売電優先」、価格が市場連動になる5年目以降は「自家消費優先」へと、AI技術が最適な運転モードを自動で切り替える。これにより、利用者が設定を変更する手間なく、電気代を削減するという。

 新FIT制度では、設置後4年間は、夜間の電気料金単価が買取単価よりも安価になる電力プランがある。新サービスでは、AI技術が各家庭の生活パターンを学習して日中の電力消費量を予測し、日中に必要なる分を夜間に充電する。これにより、日中の太陽光発電による余剰電力量を最大化するという。

 買取単価が市場価格相当に低下する5年目以降は、売電を優先するモードから、発電した電力を蓄電池に貯めて自家消費を優先するモードへと自動で切り替える。

 従来は利用者自身での設定変更が必要だったが、これを自動化することで手間を削減しながら、電気代の削減につなげるという。


注1:FIT(Feed-in Tariff)制度:再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が国の定める価格で一定期間買い取ることを保証する制度。
注2:HEMS(Home Energy Management System):家庭で使うエネルギーを可視化し、効率的に使用するための管理システム。

参考サイト

シャープ株式会社 ニュースリリース 2025年9月24日、「業界初、新FIT制度に対応したエネルギーマネジメントサービスを提供開始」
 

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...