屋根設置型太陽光発電の余剰電力を全国で活用
イオン株式会社(以下、イオン)は、屋根設置型太陽光発電の余剰電力を全国の店舗や事務所で活用する取り組みを開始した。2025年8月1日から先行して中部エリアで開始しており、イオンリテール株式会社(以下、イオンリテール)の事業活動で年間約192トンのCO₂削減効果を見込む。株式会社JERA(以下、JERA)と共同で取り組む。2025年9月26日に発表した。
図1 イオンとJERAによるスキームのイメージ
出所 イオン株式会社 ニュースリリース 2025年9月26日、「イオンとJERAグループによる脱炭素社会実現に向けた新たな共同取組みの開始について」
中部エリアで年間192トンのCO2削減、今後は全国展開へ
今回の取り組みでは、JERAのグループ会社である株式会社JERA Crossがアグリゲーター注1として、複数の屋根設置型太陽光発電が生み出す余剰電力を束ね、中部電力ミライズ株式会社を通じてイオンリテールの店舗や事務所へと供給する。
まず中部エリアで先行し、新たに稼働する太陽光発電設備も本スキームに組み込み、年間約46万7千kWhの電力をイオンリテールの店舗や事務所に供給する計画だ。これにより、イオンリテールの事業活動におけるCO2排出量を年間で約192トン削減する見通しである。これは一般家庭約150世帯分の年間排出量に相当するという。
今後、イオンとJERAは今回締結した覚書に基づき、この事業スキームを全国のイオンの店舗や事務所へ展開していく計画だ。これにより、イオンは、同社が掲げる2040年までに店舗での温室効果ガス排出量を総量でゼロにするという「イオン脱炭素ビジョン」の達成を目指す。また、JERAグループは、イオン独自の基準を満たす24/7カーボンフリー電力注2などの幅広い脱炭素ソリューションを提案し、イオンの脱炭素化を包括的に支援する。
イオンによると、屋根設置型太陽光は、既存の建物を活用するため、新たな土地開発やそれに伴う自然環境への影響を回避できる。これまで活用されてこなかった地域の余剰電力を買い取ることで、未利用の再生可能エネルギー資源を有効活用し、地域共生や循環型経済のモデルとしての役割を果たすことも期待される。
注1:アグリゲーター:点在する小規模な再生可能エネルギー発電設備や蓄電池、デマンドレスポンスなどのエネルギーリソースを束ね(アグリゲーション)、1つの発電所のようにまとめて制御することで、電力市場での取引や電力系統の安定化に貢献する事業者のこと。
注2:24/7カーボンフリー電力:24時間かつ週7日間を通してCO2を排出しない電力のこと。
参考サイト
イオン株式会社 ニュースリリース 2025年9月26日、「イオンとJERAグループによる脱炭素社会実現に向けた新たな共同取組みの開始について」