使用済み容器包装プラスチックのケミカルリサイクルを開始
株式会社ロッテ(以下、ロッテ)は、株式会社レゾナック(以下、レゾナック)、日本ウエストグループと共同で、生産ロスなどで排出された使用済み容器包装プラスチックをガス化し、再利用するケミカルリサイクル注1を2025年10月に開始する(図1)。これまでリサイクルが難かしかった複数素材からなるプラスチックを分解し、水素やアンモニアなどの化学品に再生する。2025年10月16日に発表した。
図1 ロッテ、レゾナック、日本ウエストグループによるケミカルリサイクルのスキーム
出所 株式会社ロッテ、株式会社レゾナック ニュースリリース 2025年10月16日、「ロッテ、レゾナック使用済み容器包装プラスチックのガス化ケミカルリサイクルを、2025年10月より開始」
2025年度に約10トンのリサイクルを計画
菓子などの容器包装に使われるプラスチックフィルムは、品質保護の観点から、複数種類のプラスチックやアルミ蒸着層などを組み合わせた積層体構造が主流である。積層体構造は素材ごとの分離が難しく、資源の循環利用が容易でなかった。
従来、同社は、使用済みプラスチックを古紙などと混合して固形燃料化する手法「RPF」注2を採用し、サーマルリサイクル注3を実施してきた。しかし、社会全体で使用済みプラスチックの有効利用高度化が求められており、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルへの転換が求められているという。
今回、開始する取り組みでは、使用済みプラスチックを高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素やアンモニア、炭酸ガスといった化学品として再生する。再生した化学品は、レゾナックを通じて市場に還流する。
2025年度は、ロッテ狭山工場が排出するプラスチックのうち、約10トンを同手法でリサイクルする見込みだ。なお、本取り組みにおけるトレーサビリティは、排出元のロッテから、運搬・中間処理を担う日本ウエスト、リサイクル処理を行うレゾナックまでの一連のプロセスを第三者認証によって担保しているとする。
ロッテは、サステナビリティ目標「ロッテ ミライチャレンジ2048」で掲げるマテリアリティの1つに「サーキュラーエコノミー」を設定している。今回の取り組みはその一環であり、バリューチェーン全体での環境負荷の最小化を目指す。同社は今後もプラスチックの排出抑制や再資源化について、有効利用の高度化を模索し、ステークホルダーとの協業を進める方針だ。
注1:ケミカルリサイクル:廃プラスチックを化学的に分解し、化学製品の原料などに戻して再利用するリサイクル手法。
注2:RPF(Refuse derived paper and plastics densified fuel):主に産業系の古紙および廃プラスチックを原料とした高品位の固形燃料。石炭などの化石燃料の代替として利用される。
注3:サーマルリサイクル:廃プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを回収・利用するリサイクル手法。
参考サイト
株式会社ロッテ、株式会社レゾナック ニュースリリース 2025年10月16日、「ロッテ、レゾナック使用済み容器包装プラスチックのガス化ケミカルリサイクルを、2025年10月より開始」