年間CO2排出削減量は2万2,000トンを見込む
古河電気工業株式会社(以下、古河電工。写真1)は、光ファイバ・ケーブルの製造拠点である三重工場において、2023 年度消費相当量の「トラッキング属性付きFIT 非化石証書」(後述)を購入することによって、同工場が使用する全電力を「実質的に再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来」とした。これに伴う年間CO2排出削減量は、2万2,000トンと見込んでいる。
同社では、この工場で製造する光ファイバ・ケーブルを、製造工程での環境負荷が極めて低い製品として提供する考えだ。
写真1 古川電工の光ファイバ・ケーブル製造拠点である三重工場の外観
出所 古河電気工業ニュースリリース 2023年10月12日「光ファイバ・ケーブル三重工場の全電力を実質再エネ化」
トラッキング属性付きFIT非化石証書とは
古河電工が今回購入したFIT非化石証書は、太陽光発電や風力発電など非化石電力の環境価値を証書化したもの。企業など需要家がこれを購入することで、自社使用の電力を脱炭素由来のものに置き換えるカーボンオフセット注1が可能となる。
FIT非化石証書は資源エネルギー庁が運用しているが、このほか、民間団体や自治体による「グリーン電力証書システム」、経済産業省・環境省・農林水産省による「J-クレジット」もカーボンオフセットに利用されている。
また、トラッキング属性とは、購入した電源の種類や発電所所在地などの属性情報のこと(図1の右)。この属性情報が付加された証書は信頼性が高く、RE100注2やCDP注3、TCFD注4といった脱炭素化の国際組織への報告や回答に使用できるため、近年取引量が増えている。
図1 FIT非化石証書のトラッキング属性のイメージ
出所 資源エネルギー庁 2020年11月27日「非化石価値取引市場について」
バリューチェーン全体の脱炭素化
古河電工グループでは、2021年に「古河電工グループ環境ビジョン2050」注5を策定し、その目標の1つとしてバリューチェーン注6全体の温室効果ガス排出量削減を推進している。
脱炭素化のバリューチェーンは「上流」「自社」「下流」の3つに分けられ、そのうちの「自社」には、事業者自らが燃料を燃焼させるなどして温室効果ガスを排出する「スコープ1」と、他社から供給された電気やガスなどによる間接排出の「スコープ2」がある(図2。注:スコープ3は、スコープ1、2以外の間接排出、すなわち事業者の活動に関連する他社の排出を示す)。
古河電工は今回の三重工場のほか、2022年4月には銅箔事業部門の今市東工場(栃木県日光市)においてグリーン証書を活用したガスを導入しているが、これらはスコープ2に該当する。
図2 サプライチェーンのイメージ
出所 経済産業省 2022年9月22日「サプライチェーン全体でのカーボンフットプリントの算定・検証等に関する背景と課題」をもとに一部加筆修正
注1:カーボンオフセット:Carbon Offset。二酸化炭素(CO2、カーボン)などの温室効果ガス(カーボン)を、埋め合わせる(オフセット)という意味。CO2は社会が排出する温室効果ガスのうち、実に約75%を占めている。具体的には、自社の企業努力だけでは削減しきれないCO2の排出量を、他の場所で実現したCO2排出量削減分をクレジットとして購入し、埋め合わせをする枠組みのことをいう。
注2:RE100:100% Renewable Electricity。事業活動によって生じる環境負荷を低減させるために設立された国際的な環境イニシアティブ。事業運営に必要なエネルギーを、100%再エネで賄うことを目標とする。
注3:CDP:旧名はCarbon Disclosure Projectの略語として併記されていたが、現在はCDPのみの表記で使用。英国NGO(非政府組織)運営による、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システム。当初はカーボン(炭素)のみを対象としていたが、水セキュリティや森林なども加えられている。
注4:TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース。国際金融に関する監督業務を行う金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)によって、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立。
注5:古河電気工業ニュースリリース2021年3月4日「『古河電工グループ 環境ビジョン2050』を策定」
注6:サプライチェーン(Supply Chain、供給連鎖)とバリューチェーン(Value Chain、価値連鎖)の違いは、サプライチェーンが「商品の供給(Supply)の流れ(連鎖)」を重視しているのに対して、バリューチェーンは「商品価値(Value)の最大化の流れ(連鎖)」を重視し「競争の優位性を生み出すことを重視」している点である。しかし、両者の範囲は重複する点が多いとこるから、しばしば同義語として使用される場合が多い。
参考サイト
古河電気工業株式会社ニュースリリース 2023年10月12日「光ファイバ・ケーブル三重工場の全電力を実質再エネ化」
古河電気工業株式会社ニュースリリース 2022年4月18日「国内銅箔事業部門生産拠点の全電力を実質再エネ化」
古河電気工業株式会社ニュースリリース 2021年3月4日「『古河電工グループ 環境ビジョン2050』を策定」