[特別レポート]

韓国のDMB/WiBroの最新動向(2):地上波DMBは世界40カ国が採択!

2006/09/11
(月)
SmartGridニューズレター編集部

韓国では、携帯向けデジタル放送(DMB、Digital Multimedia Broadcasting)を昨年(2005年)から始め、世界への進出を積極的に推進しています。地上波DMBは、無料放送としてすでに142万台を突破し、ドイツなど世界進出を果たしています。また、衛星DMBは、有料放送として世界最高規模となる70万加入者以上を確保しています。韓国は、モバイル先進国から携帯向けデジタル放送のグローバル・テスト・ベットとして成長しようとしています。今回は、前回の韓国内の地上波DMBに続いて、地上波DMBの海外進出状況、および衛星DMBの動向について紹介します。

地上波DMDの海外進出動向

地上波DMBの海外進出状況について紹介します。まず、地上波DMBを採択する可能性が高い国は、既にDABを選択している40ヵ国です。40ヵ国と多い理由は、地上波DMBが、そもそも欧州のDAB方式を改良して生まれた技術であるからです。しかし、
現在DABを採択している国のなかで、イギリスを除いてほとんどの国でサービスが活性化されていないのが現状です。

このような状況を解決するために、DABを採択した国では最近、韓国の地上波DMB導入を真剣に検討しています。イギリス、フランス、ドイツ、オランダなど欧州の主要国、中国、マレーシアなどアジア諸国、アメリカ、メキシコ、ブラジル、ペルーなど中南米諸国など10ヵ国から韓国の地上波 DMBのデモ、またはカンファレンス開催を要請され、いままで20回以上のデモが行われました。

その結果、ドイツ、イギリス、メキシコ、中国では、次に示すように、今年から地上波DMBの実験プロジェクトが始まることになりました。次に、各国で推進している主な地上波DMBプロジェクトを紹介します。

図1 ドイツの MI FRIENDS PROJECT
図1 ドイツの MI FRIENDS PROJECT (クリックで拡大)

まず、ドイツの「MI FRIENDS PROJECT」を紹介します(図1)。MI FRIENDSとは、Mobile Interactive Favorite TV、Radio、Information、 Entertainment、New Digital Serviceの略語です。これは、ドイツのバイエルン州放送規制機関(BLM)が作った地上波DMBプロジェクトです。

すなわち、移動端末における双方向テレビとラジオによって、情報とエンターテインメントが提供される新しいデジタル放送サービスを、どこでも友達のように利用できるというプロジェクトです。

このプロジェクトは、2005年11月には欧州の9カ国75社が共同で推進するCELTIC EUREKAの公式プロジェクトに選定されました。同プロジェクトは、2006年 1月に始まり、2年間で4つの地域で実施される予定です(図2)

図2 4つのCELTIC  EUREKAの公式プロジェクト
図2 4つのCELTIC EUREKAの公式プロジェクト (クリックで拡大)

1つ目が、ドイツの小都市、レゲンスブルグでのプロジェクトで、 2006年 1月から実験放送を開始しました。2つ目は、ミュンヘンでのプロジェクトで、6月から始まったFIFA ワールドカップの開催期間中に実験放送を実施しました。

写真 欧州におけるMI FRIENDS PROJECTのスタート
写真 欧州におけるMI FRIENDS PROJECTのスタート

3つ目は、ドイツ、スイス、オーストリアの接近地域である Bregenzでのプロジェクトで、4つ目は、北部イタリアの Tyrol (チロル)地域でのプロジェクトです。この MI FRIENDS PROJECTの推進により、ドイツ、イタリア、オーストリア、スイスなどで地上波DMBの進出が見込まれています。

欧州では、MI FRIENDS PROJECTとは別に、ドイツ、イギリス、フランスで地上波DMB プロジェクトが推進されています。

ドイツでは、携帯電話事業者であるデビテル(Debitel)が、5月からTシステムズ(T-Systems)のLバンド(1,452~1,492MHz帯)を用いて、ベルリン、ミュンヘンなどの5つの都市で地上波DMB実験サービスを開始しています。また、6月からはワールドカップ試合を開催している12都市で本放送を開始しました。この本放送はCAS(Conditional Access System、限定受信方式)を用いた有料放送(ビデオチャンネル4、ラジオ1)で、双方向サービスを実現しています。

イギリスでは 今年(2006年)6月からイギリスと韓国の放送事業者、メーカーなどが共同で、韓国の地上波DMBとイギリスのBT Lifetimeの拡張型パケットIP(Enhanced Packet IP)基盤の技術を比較検証を開始しました。

フランスでは 、2005年10月から半年間、フランス第1の放送局であるTF1、携帯電話事業者であるブイグテレコム(Bouygues Telecom)と韓国のサムスン電子、ポステルなどが参加する地上波DMB実験放送を実施中です。

中国の北京人民ラジオ放送局の子会社であるJolon(Beijing Jolon Digital Media Broadcasting)は、2006年1月から北京で地上波DMBの実験放送を開始し、5月からは 2つのチャンネルで本放送を開始しました。12月からは、地下街に中継機を置き始め, チャンネルの数を4つのテレビ・チャンネルと、12個のオーディオ・チャンネルに拡大する予定です。また、今年中には広東と上海で地上波DMBの本放送を開始する見込みです。

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