[特別レポート]

加速する5G実証試験/勢揃いするLPWA

― KDDIが日本初の3GPP標準「LTE-M」のサービスを開始へ ―
2018/01/01
(月)
三橋 昭和 インプレスSmartGridニューズレター編集部

2020年の5G(第5世代移動通信システム)実現に向けて、世界の通信事業者の動きが活発化している。日本では、2017年10月、総務省と5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)が、「5Gワークショップ2017」を開催した。韓国・ソウルでは「第4次産業革命を加速する5G」をテーマに、「グローバル5Gイベント」が、2017年11月22〜23日に開催され、世界の代表的な5Gの推進団体が結集、5Gの導入状況や各種実証試験などが報告された。
ここでは、5Gの実現に向けた世界の取り組みや、3GPPにおける5Gの標準化動向とそのロードマップ、および5Gが目指す3つの要求条件などを整理する。続いて、5G環境の一翼を担い「超多数端末の同時接続(大量MTC接続)」を目指す、IoT向けに特化したLPWA(省電力型広域無線ネットワーク)の最新動向を解説する。加えて、KDDIが2018年1月から提供を開始するセルラーLPWAの通信サービス「KDDI IoTコネクトLPWA(LTE-M)」についても紹介する。

5G実現向けて活発化する世界の取り組み

 IoT・ビッグデータ・AI時代を迎えて、通信の面から、4G(LTE〜LTE-Advanced Pro)の次の世代となる5G(第5世代移動通信システム)への動きが活発化している。例えば、冒頭で述べたように、直近の動きとして、日本では総務省と5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)が、「5Gワークショップ2017」を幕張メッセで開催した(2017年10月4日、参加者約700名)注1

 これに続いて、韓国・ソウルでは「グローバル5Gイベント」注2が2017年11月22〜23日、JWマリオットホテル・ソウルで開催され、

  1. 日本の5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)
  2. 韓国の5G Forum
  3. 米国の5G Americas
  4. 中国のIMT-2020(5G)Promotion Group
  5. 欧州の5G-IA(5G Infrastructure Association)
  6. ブラジルの5G Brazil

という世界の代表的な5Gの推進団体が結集し、「第4次産業革命を加速する5G」をテーマに活発な議論が行われた。

 同イベントでは、各政府の活動状況の紹介に続き、5G周波数の課題についての議論や、各推進団体の取り組みについて報告がなされた。さらに、5Gの導入およびサービス計画や、5Gの各種実証試験の状況などに加えて、「推進団体間の国際協力の状況」および「ピョンチャンオリンピックとその後の5G」など、目前に迫ったオリンピックの準備状況の報告なども行われた。

5Gのロードマップと3つの要求条件

 日本の5GMFは、2017年9月に5Gに関するホワイトペーパーを作成し、ITUや3GPP(表1に、この記事に登場する5G/LPWAに関連する用語を解説)と関連付けて、2020年に向けた5GMFのアクションプラン(図1)を発表した。5Gは、LTE-Advanced Proの標準化も含めて、3GPPリリース14から標準化が開始されている注3

表1 5G/LPWAに関連する用語解説

表1 5G/LPWAに関連する用語解説

出所 各資料をもとに編集部作成

図1 5G実現のための2020年に向けたアクションプラン

図1 5G実現のための2020年に向けたアクションプラン

5G-TPG:5G Trial Promotion Group 、5Gトライアル推進グループ
出所 5GMF White Paper「5G Mobile Communications Systems for 2020 and beyond Version 1.1」、2017年9月29日

 具体的には、3GPPリリース15で5Gフェーズ1を、リリース16で5Gフェーズ2が策定される。この間、日本の5GMFは、5Gのコンセプトの策定から5Gフィールドトライアルを行い、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるよう、5Gの商用サービスを開始する計画となっている。

〔1〕5Gを実現する3つの要求条件

 5Gを実現するには、図2および表2に示すように、

  1. eMBB(大容量・超高速通信)
  2. mMTC〔大量MTC接続(超多数端末の同時接続)〕
  3. URLLC(低遅延化・高信頼性通信)

などの要求条件を実現することが求められる。

表2 LPWAも取り込む5G(第5世代)の要求条件(eMBB、mMTC、URLLC)

表2 LPWAも取り込む5G(第5世代)の要求条件(eMBB、mMTC、URLLC)

出所 5GMF White Paper「5G Mobile Communications Systems for 2020 and beyond Version 1.1」、2017年9月29日

図2 5Gによるエコ社会実現に向けたクロスオーバーコラボレーション

図2 5Gによるエコ社会実現に向けたクロスオーバーコラボレーション

出所 5GMF White Paper「5G Mobile Communications Systems for 2020 and beyond Version 1.1」、2017年9月29日

 これらを実現することによって、5Gは、今後普及が予想されている自動運転車に対して、災害発生時にリアルタイムに最適な地図(走行ルート)を作成し支援する用途(低遅延)をはじめ、遠隔制御(海外にあるブルドーザーなどの日本からの遠隔制御・運転)や、4K/8KによるVR(仮想現実)/AR(拡張現実)などのリッチコンテンツに求められる超高速通信、およびIoTの進展に伴って急増する超多数端末の同時接続(LPWA)などに対応できることが期待されている。

〔2〕5Gにおける3つの周波数帯候補

 総務省では、5Gへの周波数帯割当について、現在、3.7GHz帯(3.6〜4.2GHz)、4.5GHz帯(4.4〜4.9GHz)、28GHz帯(27.5〜29.5GHz)などが候補として審議されている注4。今後、欧州や米国、中国、韓国などの各国との連携を考慮し、またITUや3GPPにおける5G無線インタフェースの標準化動向をみながら、日本の周波数割当ロードマップを作成することなどが検討されている。

〔3〕日本でも周波数オークションを検討へ

 また、新たな周波数帯の割り当てに伴って、政府の規制改革推進会では、次のようなことが検討されている注5

  1. 新たに割り当てる周波数帯について、その経済的価値を踏まえた金額などを総合的に評価することで、価格競争の要素を含め、周波数割当を決定する方式を導入する(2018年度中に法案を提出して法整備する)こととし、そのための検討の場を設ける。
  2. 入札価格の競り上げにより割り当てを受ける者を決定するオークション制度については、メリット・デメリット、導入した各国におけるさまざまな課題も踏まえ、引き続き検討を継続する。

 特に、これまで日本では実施されていなかったオークション制度が俎上に上がっており、実際に導入がされるか否か、大きな関心を集めている。


▼ 注1
http://5gmf.jp/event/20171024134507/

▼ 注2
年2回開催で、今回の主催は韓国5G フォーラム。世界16か国から315名が参加。次回の第5回イベントは、2018年5月にテキサス州オースチンにおいて開催される予定。

▼ 注3
5Gについては、2015年9月に「3GPP Workshop on 5G」会合が開催され、3GPPにおける5Gの標準化が開始された。図1に示すように、2020 年の5Gサービス実現を目指して、3GPP リリース14、15、16などで順次仕様化され、2019 年に標準化を完了する予定。

▼ 注4
「新世代モバイル通信システム委員会における検討状況」、総務省、平成29(2017)年5月31日

▼ 注5
「規制改革推進に関する第2次答申」、規制改革推進会、平成29(2017)年11月29日、10〜11ページ

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