IMSにおけるQoSポリシー制御
【1】IMSにおけるQoSポリシー制御アーキテクチュア
リアルタイム性を伴うマルチメディア・サービスをIP-CAN上で実現するためには、SIPアプリケーションが必要とするQoSに応じてIP-CANのQoSと連携を取りながら、IP-CANのリソースを確保し、エンド・ツー・エンドでQoSを保証する機能が重要となってきます。
図1に、QoSを実現する3GPPリリース6におけるQoSポリシー制御のアーキテクチャを示します。
まず、端末から外部IPホストへの通信では、端末がアプリケーション・サービスに応じてアプリケーションに必要なQoSをサポートするIPベアラ(1)と、GPRSベアラ(2)を設定します。
次に、外部IPホストから端末に向けて通信する際には、外部IPホストがアプリケーション・サービスに応じて必要なQoSをサポートするIPベアラを設定します(3)。
外部IPネットワークとコア・ネットワークのゲートウェイであるGGSNでは、IP BS(Bearer Service)マネージャが配備され、、外部のIPベアラQoSに応じたGPRSベアラの設定を行います(4)。また、事業者がアプリケーション・サービスに応じてQoSを制御したいような場合には、SIP/SDPに含まれるセッションで使用されるマルチメディアのサービス情報(5)に応じて、QoSポリシーを決定する機能が、SIP/SDPを転送するP-CSCFと、IPベアラを提供するGGSNの間に必要になります。この機能は、PDF(Policy Decision Function)と呼ばれます。
GGSNでは、PDFのポリシーの決定(6)に応じてQoSポリシーを実行しますが、この機能を、PEP(Policy Enforcement Point、ポリシー施行ポイント)と呼んでいます。
【2】3GPPリリース6での機能の特徴
3GPPリリース5では、PDFはP-CSCFに内蔵されていましたが、3GPPリリース6では、P-CSCF外の独立機能とすることが可能となりました。
P-CSCFとPDFの間のインタフェースは、Gqインタフェースと呼ばれ、Diameterプロトコルが使用されます。また、PDFとGGSNのPEPの間のインタフェースはGoインタフェースと呼ばれ、COPS(Common Open Policy Service、共通オープン・ポリシー・サービス)プロトコルが使用されます。
QoSポリシーを実行するGo/Gqインタフェースの機能には、次のようなものがあります。
(1) P-CSCFに対するSIPアプリケーションのサービスの使用許可
(2) GGSNに対するSIPアプリケーションに応じたメディアのIPベアラの生成の要求
(3) SIPセッションが確立後、GGSNに対する最終的なIPベアラの使用の承認(特定のIPフローのGGSNにおけるゲートの開放)
(4) GGSNに対するIPベアラのQoSリソース許可の取り消し
(5) P-CSCFへのGGSNにおけるIPベアラの解放の通知
【3】3GPPリリース7での機能の特徴
3GPPリリース7では、さらにIPベアラの課金機能とQoSポリシー制御機能が統合され、PDFがPCRF(Policy and Charging Rules Function、ポリシーおよび課金ルール機能)と呼ばれ、PEPがPCEF((Policy and Charging Enforcement Function、ポリシーおよび課金施行機能)と呼ばれるようになりました。また、PCRFとPCEFの間のインタフェースも、COPSプロトコルではなく課金インタフェースで使用されるDiameterプロトコルに変更し統合されました。
さらにインタフェースの参照名も課金インタフェースに統合され、Rx〔P-CSCF(AF)−PCRF〕/Gx〔PCRF−GGSN(PCEF)〕という名称になりました。