なお、非接触ICカードの仕組みや非接触ICカードを利用した各サービスの概略については、本連載の第7回と第8回で取り上げているので、あわせてご覧ください。
2001年 ビットワレット設立、サービススタート
1月18日
Edyの事業会社である「ビットワレット株式会社」が設立されました。同社の事業内容は「プリペイド型電子マネー・サービス“Edy”事業の企画・運営、プリペイド型電子マネーのカード発行会社・利用可能店舗開拓、Edyブランドの管理」で、資本金は50億円、設立当初の株主構成は表1のとおりです。
表1 ビットワレット設立時の株主構成
株主 | 持株比率 |
---|---|
ソニー株式会社 | 5% |
株式会社ソニーファイナンスインターナショナル | 42% |
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 15% |
株式会社さくら銀行 | 5% |
さくら情報システム株式会社 | 6% |
株式会社日本総合研究所 | 4% |
トヨタ自動車株式会社 | 5% |
株式会社デンソー | 5% |
株式会社ディーディーアイ | 5% |
株式会社三和銀行 | 4% |
株式会社東京三菱銀行 | 4% |
3月
試験サービスとして、ビットワレットが入居するビル「ゲートシティ大崎」、「am/pm」の一部店舗で、さくら銀行の発行するEdyカードを利用して預金口座や現金での入金、Edyカードでの支払い、インターネット上でのクレジットカードを使った入金、音楽配信サイトでの決済を実施しました。
11月1日
サービスを本格的に開始しました。サービス本格開始の案内とともに、2003年度内に次の数値を達成することが目標として発表されました。
- Edyカード発行:850万枚
- 加盟店数:23,000店
- 個人用リーダー/ライター販売数:400万台
Edyのバリュー(価値)の発行には、ビットワレットのほか、ソニーファイナンスインターナショナル、三井住友銀行、トヨタファイナンス、ディーシーカード、ダイエーオーエムシーカードの各社の参加が決定しました。
ビットワレットが発行するEdyカードのほか、表2に挙げたEdy搭載カードが2002年3月までに発行予定であると発表されました。
表2 2002年3月までに発行予定のEdy搭載カード
種別 | 名称 | 発行予定数 |
---|---|---|
Edy専用カード | エーエム・ピーエムEdyカード | - |
社員証 | ソニー社員証 | 約21,000枚 |
東京三菱銀行行員証 | 約20,000枚 | |
サンデン社員証 | - | |
エーエム・ピーエム社員証 | - | |
会員証 | デリスクラブカード | - |
AIIブロードバンドメンバーズカード | - | |
クレジットカードのサブカード | トヨタティーエスキュービックEdyカード | 約7,000枚 |
※発行予定数は、公表されたもののみ。
Edyでの決済に対応すると発表された店舗などは表3、Edyのインターネット上でのチャージ(入金)に対応すると発表されたクレジットカードなどは表4のとおりです。
表3 Edyでの決済に対応すると発表された店舗など
店舗名 | 導入時期 | 備考 |
---|---|---|
エーエム・ピーエム・ジャパン | 2002年夏全店導入予定 | - |
品川インターシティ | 2001年12月より順次 | - |
サンデン 赤城事業所 | 2002年3月より | 売店、食堂、自動販売機約100台 |
トヨタ記念病院 | 自動販売機(17台)は 2002年1月~6月までの試行 |
売店、レストラン、 医療費の一部支払い |
パーク24 | 2002年4月から順次 | 品川・大崎地区数店 |
ソニービル、ソニータワー | 2002年春 | - |
ソニープラザ | 2002年春より順次 | - |
So-net e-Mart出店企業 | 2001年1月より順次 | JAL SHOP、Franc franc、GRANVIKなど |
e-SCOTT採用ecサイト | 2001年11月より順次 | e-SCOTTは、ソニーファイナンスが運営 |
Gazooが運営するecサイト | 2002年2月から6月まで試行 | - |
ソニースタイル | 2002年春 | - |
ソニーミュージックグループ が運営するecサイト |
2002年春 | - |
エンタテインメントプラス(e+) | 2002年春 | - |
エー・アイ・アイが運営する ブロードバンドコンテンツサイト |
2002年春 | - |
Bitway | 2002年春 | 凸版印刷が運営 |
表4 Edyのチャージに対応すると発表されたクレジットカードなど
名称 | 開始時期 |
---|---|
三井住友カード | - |
UCカード | - |
NICOSカード | - |
ORICOカード | - |
CFカード | - |
ソニーファミリーカード | 2001年11月末 |
ダイエーオーエムシーカード | 2001年11月末 |
DCカード | 2002年春 |
ダイナースクラブカード | 2002年春 |
トヨタティーエスキュービックカード | 2002年 |
三井住友銀行ネットデビット | 2002年春 |
※開始時期は発表があったもののみ
2002年 全国展開するコンビニに導入される
3月26日
資本金を50億円から71.5億円に増資する第一次第三者割当増資を行い手続きが完了しました。新株1株の発行価額は50,000円、新株発行数は43,000株で、株主は合計19社になりました。今回の増資で新規の株主となったのは14社で、クレジットカード、信販、端末機器メーカー、印刷、不動産デベロッパーなどで、Edyの発展に寄与することが期待される企業です。増資分の引受先と株式数は表5のとおりです。
表5 第一次第三者割当増資の引受先と株式数
新規 | 増資分の引受先 | 株式数 |
---|---|---|
株式会社ソニーファイナンスインターナショナル | 16,800株 | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 6,000株 | |
株式会社三井住友銀行 | 2,000株 | |
ソニー株式会社 | 2,000株 | |
株式会社東京三菱銀行 | 1,600株 | |
※ | 株式会社ユーエフジェイカード | 1,600株 |
※ | グローリー工業株式会社 | 1,000株 |
※ | サンデン株式会社 | 1,000株 |
※ | 株式会社ジャックス | 1,000株 |
※ | 株式会社ダイエーオーエムシー | 1,000株 |
※ | 大日本印刷株式会社 | 1,000株 |
※ | 凸版印刷株式会社 | 1,000株 |
※ | トッパン・フォームズ株式会社 | 1,000株 |
※ | 株式会社日本コンラックス | 1,000株 |
※ | 富士通株式会社 | 1,000株 |
※ | 富士電機冷機株式会社 | 1,000株 |
※ | 三菱電機株式会社 | 1,000株 |
※ | 森トラスト株式会社 | 1,000株 |
※ | ユーシーカード株式会社 | 1,000株 |
7月19日
関西など一部のエリアを除く全国のam/pmでEdy決済への対応が始まりました。これにより、Edyに対応する店舗数が、一気に1,000店以上も増えました。また、am/pmの店頭では、1円単位でのチャージに対応するほか、セルフガソリンスタンドなどを併設したデリスタウン(am/pmを中心にセルフガソリンスタンド、レストラン、薬局を併設した複合店舗)でのEdy決済による完全セルフサービスが可能になりました。
11月
チケットのオンライン販売最大手のエンタテインメントプラス(e+:イープラス)(http://eplus.jp/)が、Edyを搭載したFeliCaカードをチケットとして利用する電子チケットシステムの開発を発表し、同年12月のコンサートからサービス運用を開始しました。
2003年 大幅増資、マイレージとの連携を開始
2003年1月30日
資本金を71.5億円から一気に2倍近い130.435億円に増資する第二次第三者割当増資を実施しました。今回の増資では、1株あたりの発行価額が100,000円で、4社が新規の株主になりましたが、いずれも、すでに株主になっている企業のグループ会社です。増資分の引受先と株式数は表6のとおりです。
表6 第二次第三者割当増資の引受先と株式数
新規 | 増資分の引受先 | 株式数 |
---|---|---|
株式会社ソニーファイナンスインターナショナル | 17,900株 | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 6,000株 | |
グローリー工業株式会社 | 5,000株 | |
株式会社日本コンラックス | 4,500株 | |
大日本印刷株式会社 | 3,000株 | |
凸版印刷株式会社 | 3,000株 | |
トッパン・フォームズ株式会社 | 3,000株 | |
富士電機冷機株式会社 | 3,000株 | |
ソニー株式会社 | 2,100株 | |
株式会社東京三菱銀行 | 2,000株 | |
トヨタ自動車株式会社 | 2,000株 | |
富士通株式会社 | 2,000株 | |
※ | 富士電機株式会社 | 2,000株 |
株式会社ジャックス | 1,000株 | |
※ | 株式会社ディーシーカード | 500株 |
株式会社デンソー | 500株 | |
森トラスト株式会社 | 500株 | |
ユーシーカード株式会社 | 335株 | |
※ | 株式会社アプラス | 300株 |
※ | 株式会社セントラルファイナンス | 300株 |
3月3日
ANAのANAマイレージクラブで貯めたマイルを電子マネーに変換するサービスを6月1日から実施する予定であるとの発表がありました。ANAグループは、Edyが搭載された「AMC Edyカード」を発行し、10,000マイル単位で10,000円のEdyに変換します。さらに、AMC Edyカードでの決済200円につき1マイルが貯まります。AMC Edyカードは、既存のEdy対応店舗などで利用できます。また、空港内の全日空商事や国内のANAホテルもEdy決済への対応を進めることも発表されました。マイルから電子マネーへの変換は、世界初のサービスで、先駆的な例として注目されます。
3月24日
ソニー学園湖北短期大学で、Edy機能付きのICカード学生証・教職員証を9月から導入するとの発表がありました。このICカード学生証・教職員証は、在籍証明のほか、夜間や休日の入出門管理、教職員の在校状況把握、図書館などの施設利用、行事や授業(一部)の出席調査などの機能を備えています。また、Edy機能により、校内の自動販売機や食堂、売店でキャッシュレス決済が可能となります。なお、Edy機能は、既存のEdy対応店舗などでも利用できます。
5月22日
サントリーグループのコーヒーショップ・バー「プロント」(運営会社:プロントコーポレーション)(http://www.pronto.co.jp)の全店でEdyを導入することに合意したとの発表がありました。6月からテスト導入を開始し、8月頃には全店での導入完了を予定しています。また、Edyの導入にあわせて、プロントの会員証とEdyの機能を持った「プロントEdyカード」も発行します。プロントのEdy導入は、外食チェーンがEdyを全店に導入する初めての事例です。
11月29日
資本金を130,435億円から2倍近い214,535億円に増資する第三次第三者割当増資を実施しました。2003年は、合計2回の増資を行ったことになり、資本金が1年で約3倍まで増えたことになります。増資の発表時点の実績は、カード発行数330万枚、加盟店数3,100店、ショッピング利用件数160万件/月で、カード発行数はサービス開始当初の目標に届かないものの、加盟店数は目標を大きく上回る結果となっています。今回の増資は、発行価額が1株あたり125,000円で、アミューズメントや証券など、新たに28社が参加しました。増資分の引受先と株式数は表7のとおりです。
表7 第三次第三者割当増資の引受先と株式数
新規 | 増資分の引受先 | 株式数 |
---|---|---|
ソニー株式会社 | 16,000株 | |
※ | 株式会社第一興商 | 16,000株 |
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 8,000株 | |
※ | 野村證券株式会社 | 4,000株 |
※ | 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 | 2,400株 |
株式会社日本コンラックス | 2,000株 | |
※ | 富士ゼロックス株式会社 | 2,000株 |
※ | 富士通サポートアンドサービス株式会社 | 1,600株 |
※ | 三井不動産株式会社 | 1,600株 |
※ | 株式会社セガ | 1,200株 |
グローリー工業株式会社 | 800株 | |
※ | 国内信販株式会社 | 800株 |
※ | 株式会社寺岡精工 | 800株 |
※ | 株式会社電通 | 800株 |
※ | 日本オラクル株式会社 | 800株 |
※ | 株式会社博報堂 | 800株 |
※ | 富士物流株式会社 | 800株 |
※ | 王子製紙株式会社 | 480株 |
※ | 伊藤忠商事株式会社 | 400株 |
※ | エイベックス株式会社 | 400株 |
※ | NECインフロンティア株式会社 | 400株 |
※ | 株式会社オリエントコーポレーション | 400株 |
※ | 株式会社ジェーシービー | 400株 |
株式会社ジャックス | 400株 | |
※ | 昌栄印刷株式会社 | 400株 |
※ | 株式会社タイトー | 400株 |
トッパン・フォームズ株式会社 | 400株 | |
※ | 株式会社ナムコ | 400株 |
※ | 日本信号株式会社 | 400株 |
※ | 日本信販株式会社 | 400株 |
※ | 日本電気株式会社 | 400株 |
※ | 株式会社日立製作所 | 400株 |
※ | 富士写真フイルム株式会社 | 400株 |
※ | 株式会社ライフ | 400株 |
(後半に続く)
※本稿で掲載した社名、サービス名は、それぞれの発表が行われた当時のものです。