[特別レポート]

ルートとユビテックによる地域WiMAX戦略(4):WiMAXの普及は2010年ごろか

2008/05/26
(月)
SmartGridニューズレター編集部

≪3≫地域WiMAXは制度的にも大きな変換点

■総務省の発表によると、2.5GHzを利用する地域WiMAXの無線基地局の申請が2008年3月3日~4月7日に行われ、全国62市町村を対象地域として41事業者からの申請がありました。

荻野司氏(ユビテック 代表取締役社長)
荻野司氏
(ユビテック 代表取締役社長)

荻野氏 これが地域WiMAXの第一陣ですね。8日以降は、順番に随時申請することになります。おそらく、何社がどの地域に申し込んだかという第一陣の状況をみながら、自分たちの態度を考えている事業者も多いのではないでしょうか。

ルートの場合は、特に地域WiMAX向けの製品なので、自社の機械をどんどん提供していきたいと考えていることでしょう。

また、当社としては、地域によって必要とされているアプリケーションが異なることもありますので、いろいろなパターンに応じて、適正な装置とシステムを作りたいと考えています。現在の状況をみても、例えば、児童見守りサービスや災害時の情報提供、映像配信など、地域によって多種多様です。

ですから、事業が本格化するのは、まだこれからです。

■最後にこれからの期待を一言ずつ。

荻野氏 地域WiMAXというワイヤレス・ブロードバンドを有効に使って、だれでもインターネットを、簡単に使えるような世界が来れば良いと思います。しかも、できればキャリア主導ではなく、使うユーザー側の気持ちになってサービスが組まれてくると、都市への一極集中の状況が改善されて、地域が活性化すると思います。

真野浩氏(ルート 代表取締役)
真野浩氏
(ルート 代表取締役)

真野氏 インターネットのポリシーは、自律分散です。すなわち、いろいろな機能をモジュール化してユーザー自身がサービスをつくり、提供することができるモデルができるから活性化できます。そういう意味では、電波の世界で、地域WiMAXが制度的に認められたというのは大きな変換点だと見ています。これで、デジタル・デバイドの問題も解決できます。実際に田舎に住んでみると、分かることがいっぱいありますが、地域WiMAXの利用によって、地域のコミュニケーションが変わるかもしれない。例えばバスが通っていないところでも、インターネットが利用できれば、ネット・ショッピングが盛んですから買い物にも困りません。便利なサービスもたくさんあるので、地域活性化のきっかけになるはずです。

■ありがとうございました。


プロフィール

真野 浩(まの ひろし)

現職:ルート株式会社 代表取締役

1960年東京都生まれ。1993年にルート(株)を設立。デジタル無線通信機器の開発を行いアナログとデジタルの融合技術によるネットワークのトータルソリューションを提唱。無線IPルータを開発し、全国150以上の市町村や学校等の地域情報化を促進。無線利用、地域情報化の為の各種審議会、研究開発事業にも多数参画。
2005年ルート(株)はアライドテレシスホールディングス(株)との経営統合によりアライドテレシスグループの子会社となる。その他、山梨県上野原市に第3セクタ方式により設立された(株)上野原ブロードバンドコミュニケーションズの取締役として、FTTHによるCTAV、ブロードバンドサービス事業も推進している。

公職:電気通信技術審議会、5GHz帯無線アクセスシステム委員会分科会委員、ワイヤレスブロードバンド推進研究会委員、モバイルブロードバンド協会理事 他

 

荻野 司(おぎの つかさ)

現職:株式会社ユビテック 代表取締役社長

1961年大阪府生まれ。1986年キヤノン(株)入社。中央研究所を経て、ISP事業開始のため1996年ファストネット(株)へ出向。1999年同社取締役に就任。
2000年(株)インターネット総合研究所 技術戦略担当執行役員に就任、2002年には同社の研究開発担当 取締役に就任し、ユビキタス時代におけるネットワーク、コンピュータとの融合技術を中心とした研究・開発組織、ユビキタス研究所を設立。
2003年には(株)ユビテック代表取締役に就任し、2005年6月には同社の上場を果たす(大証ヘラクレス 証券コード6662)。
同時に、2000年より3年間、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)のIP担当理事を務め、日本におけるインターネットの普及基盤整備に尽力。また、IPv6普及・高度化推進協議会には設立時より参画。2007年2月まで常務理事を務めIPv6普及の啓蒙活動に注力した。
現在では、ワイヤレスブロードバンド推進協議会の発起人も務め、WiMAXを中心とする次世代インターネット技術の普及や啓蒙活動に力を入れている。静岡大学 客員教授も務める。

 

 

関連記事

【アライドテレシス】
地域通信事業者に向けたWiMAX製品の販売を開始
http://www.allied-telesis.co.jp/info/news/2008/nr080401.html
【ルート】
日本で最初の地域WiMAX用基地局の技術基準適合証明を取得
http://www.root-hq.com/newsrelease/news080407.html
【東北インテリジェント通信】
デジタル・デバイド解消のためWiMAXの無線局免許を申請
http://www.tohknet.co.jp/p_mod/news/getnewsext.php?n_id=83
【総務省】
地域WiMAXに係る無線局免許の申請状況について
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080411_4.html
【WBB Forum過去記事】
2.5GHz帯のWiMAX(FWA)で地方のブロードバンドを実現!
http://wbb.forum.impressrd.jp/news/20070123/375
モバイルWiMAXがIMT-2000の新・標準インタフェースに!
http://wbb.forum.impressrd.jp/report/20070911/460
モバイルWiMAXのサービス会社、本稼働へ!
http://wbb.forum.impressrd.jp/news/20080307/560
慶應大、オープン無線プラットフォーム・ラボ =2.5GHz帯のWiMAXの実証実験をスタート=!
http://wbb.forum.impressrd.jp/news/20071228/518
韓国のDMB/WiBroの最新動向(1):140万台を突破し、国際的にも普及し始めた韓国のDMB
http://wbb.forum.impressrd.jp/news/20060818/209
韓国のDMB/WiBroの最新動向(2):地上波DMBは世界40カ国が採択!
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http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20061024/308
韓国のDMB/WiBroの最新動向(4):HSDPAとの競合激化 韓国版モバイルWiMAX「WiBro」の現状(その2)
http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20061031/312

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