[スペシャルインタビュー]

BEAシステムズのNGN/SDP戦略を聞く(2):BEAのNGNビジネス戦略

2008/05/26
(月)
SmartGridニューズレター編集部

≪2≫戦略製品「BEA WebLogic Communications Platform」とNGNの位置づけ

■NGNと御社のWLCPの位置づけを簡単に説明していただけますか。

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)
高山義泉氏
(日本BEAシステムズ
WLCPビジネスディベロップメント
マネージャ)

高山 図2に示したのが、当社のWLCPの全体像とサービス・イメージになります。WLCPの製品群(図2の「bea」というロゴがついている部分)は、NGNでいうとSDP(サービス提供基盤 )に該当します。

NGN上でアプリケーションを構築するためには、プロトコルとしてSIPを使うように標準で決められています。そして、SIPを使った通信をやるときに、使うコンポーネント・ブロック(機能要素ブロック)や、コンポーネントの役割などを決めたのがIMS(※)です。SDPは、そのIMSの中のアプリケーション・レイヤを構成するものです。

SDP:Service Delivery Platform(サービス提供基盤)
IMS:IP Multimedia Subsystem、IPマルチメディア・サブシステム


図2 BEA WebLogic Communications Platform(クリックで拡大)

■SIPサーバ上でWLCPの製品群が動いているということですね。

高山 そうです。前回掲載した「図1 IMSでサービスを提供するWLCPの構成図」で説明すると、WebLogic SIP Serverは、WLCP製品のベースプロダクトであり、その上でWLCPのそれぞれのアプリケーションが動きます。

≪3≫NGNの要であるSDP(サービス提供基盤)とは

■SDPはNGNでサービスを開発したり、提供したりする際の要となる部分ですね。そこでSDPを実現する御社の製品群の位置づけを説明していただけますか。

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)
高山義泉氏
(日本BEAシステムズ
WLCPビジネスディベロップメント
マネージャ)

高山 SDPの機能については、大きく4つあると思っています。

(1)キャリアが新しいアプリケーションを自身で構築したり実行したりする環境。当社の製品では「BEA WebLogic SIP Server」(以下「SIP Server」)です。

(2)キャリアが自社のサービスを公開して、いろいろな企業で使えるようにするときに、サービスを連結したり管理する機能。当社の製品では「BEA WebLogic Network Gatekeeper」(以下「Network Gatekeeper」)です。

(3)OSS/BSSとの連携機能。当社の製品としては「BEA Aqualogic Service Bus」です。

(4)端末の中やその周りの情報を含んだユーザー情報の管理(将来的に提供したい機能)。

このうち、3つ目について説明すると、新しいサービスを作っても、ユーザー管理や課金管理ができないと機能しませんので、接続性というのは絶対に必要です。当社は当初からOSS/BSSの関連製品に強みがあり、接続するバス(情報をやりとりするための電気信号の通路)も用意しています。このため、いろいろなユーザーへの導入実績も豊富です。

■今の3つ目のところは、図2右上のOSS/BSSのプロセス制御のところも含まれているのですか。

高山 そうです。OSS/BSSは課金管理やユーザー管理ですが、ユーザー管理システムに新しいユーザーが加わったときに、どこのシステムに反映させる必要があるかというプロセス管理をする必要があり、そのためのバスとプロセス管理というのは絶対必要です。例えば私がMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)でケータイのキャリアを変えるとします。そのとき、どのようにして新しいキャリアに私の個人情報を渡すかとか、どのタイミングで新しいほうのユーザー管理システムに私の名前が追加されるかという場合です。

■わかりました。それではSDPの4つ目の機能について説明してください。

高山 先ほど挙げたSDPの機能のうち、4つ目の「端末の中やその周りの情報を含んだユーザー情報の管理」については、当社ではまだ製品として提供できてはいませんが、今後、特に必要になってくる部分だと考えています。

例えばインターネットの世界では、銀行の口座から何から何まで、サーバ側に情報が全部あり、サーバにログインしたら、必要なすべての情報にアクセスできます。これに対して、携帯電話を使ったサービスのようなコミュニケーション・アプリケーションの世界では、いろいろな人が興味をもつ情報は、このケータイ端末の中に存在するわけです。例えば、今私がここにいるという情報や、私が会議中だという情報です。こうした情報は、サーバには存在せず、この端末の中とその周囲にあります。こうした情報を利用することで、何か新しいサービスが生まれるのではないか、そしてそうした情報を管理する必要があるのではないかということです。

■そうしたあちこちにあるユーザー情報を統合して利用する場合、具体的にどういった例が考えられますか。

高山 例えば、あるキャリアの場合、自身で電話サービスももっており、またインターネットのポータルサイトや、SNSなど、ソーシャル・ネットワークのほうのサービスも持っており、SNSのログインIDや携帯電話、インターネットサービスのためのIDなど、それぞれのサービスに対応するユーザー情報は、いろいろなところにばらばらに存在しています。SDPの4つ目の機能として考えているのは、こうした情報をどんどんミックスしていって、かつリアルタイムの情報も加えたバーチャル・データベースというイメージです。そのようなあちこちに散在している情報を集め、管理することによって、また新しいサービスというのが生まれてくるのではないかということで、今後重要になると考えています。

これはまだあまり語られていない、次世代の話だと思います。

>>「第3回」へつづく

プロフィール

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)

高山義泉(たかやま よしもと)

現職:日本BEAシステムズ株式会社 WLCPビジネスディベロップメント マネージャ

2006年 日本BEAシステムズ入社。
国内及びAPAC(アジア太平洋地域)テレコムビジネス開拓に従事、日本国内、APACのテレコムサービス、マーケット動向に精通。
2002年から、Javaを用いたテレコムアプリケーションのオープン化にも積極的に取組む。様々な"コミュニケーション"サービスの出現に期待している今日である。

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