[特集]

BEAシステムズのNGN/SDP戦略(3):IMS上でサービスを提供するWLCPの具体的機能と位置づけ

2008/05/28
(水)
SmartGridニューズレター編集部

NGNの商用サービスが2008年3月末より、日本でも開始されましたが、本格的なサービスはこれからという状況です。そのNGNで提供されるサービス開発の要となるのが、SDP(サービス提供基盤)です。そこで、ITインフラのソフトウェアベンダーとして知られ、NGNでもSDP製品群「BEA WebLogic Communications Platform」を、通信事業者を中心に広く展開し、IMS分野のリーディング・カンパニーとして注目されている日本BEAシステムズのNGN戦略や、通信業界に大きなシェアを誇るソリューションとその特徴などについて、同社ソリューション営業部 WLCPビジネスディベロップメント マネージャの高山義泉(たかやま よしもと)氏にうかがいました。
第3回は、
第1回:BEAのNGN戦略製品「WebLogic Communications Platform」とは?
第2回:BEAにとってのNGNの位置づけ
につづき、「WLCP(WebLogic Communications Platform)」を構成する2の製品「WebLogic SIP Server」と「WebLogic Network Gatekeeper」の具体的な機能や、IMS上での位置づけなどについてお聞きしました。(文中敬称略)

第3回:IMS上でサービスを提供する
「WLCP(WebLogic Communications Platform)」の具体的機能と位置づけ

≪1≫IMS上でサービスを提供するWLCPの具体的機能

■これまでのお話で全体的な戦略はわかりました。そこで、次に「BEA WebLogic Communications Platform」(以下WLCP)について、具体的に説明していただけますか。

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)
高山義泉氏
(日本BEAシステムズ
WLCPビジネスディベロップメント
マネージャ)

高山 図1は、WLCPのイメージです。

これまでも述べてきたように、NGNでネットワークの標準化をして、IMSで通信のやり取りの手順が標準化されているという形になります。

このIMSはさらに、図1に示すように、

・IMSコア・ネットワーク・レイヤ
・IMSアプリケーション・サーバ・レイヤ

の2層に分けられますが、そのうちのアプリケーション・サーバ・レイヤの位置で、当社の2つの製品、「BEA WebLogic SIP Server」(以下「SIP Server」)と「BEA WebLogic Network Gatekeeper」(以下「Network Gatekeeper」)が機能します。


図1 WLCP in IMSネットワーク(クリックで拡大)

HSS:Home Subscriber Server、ユーザーの主要な情報が格納されたデータベース・サーバ
CSCF:Call Session Control Function、呼セッション制御機能。IMSにおいて呼セッション制御機能として中心的なノード(通信装置)として位置づけられるSIPサーバ。「P-CSCF」「I-CSCF」「S-CSCF」の3つで構成される
P-CSCF:Proxy CSCF、プロキシCSCF。IMSのSIPサーバの中で、端末と直接接続されるSIPサーバ。IMS端末からSIPメッセージを受信したり、IMS端末へSIPメッセージを送信したりする
I-CSCF:Interrogating CSCF、インテロゲーティングCSCF(問い合わせCSCF)。IMS登録時にP-CSCFから受信した登録用メッセージを、S-CSCFへ転送するサーバ。またIMS着信時には、発信側から受信したSIPメッセージをS-CSCFへ転送する
S-CSCF:Serving CSCF、サービングCSCF。サービス実行のためのセッションを制御するCSCF。サービス実行時に、セッションや加入者の情報を保持するとともに、サービスを制御するためにAS(アプリケーション・サーバ)と接続する

■電話サービスであるVoIPや、映像サービスであるIPTVなどのサービスは、IMSのどのレイヤが対応するのですか。

高山 かかってきた電話を相手に「接続する」(セッションを確立する)という電話サービスの場合、SIPによる相手と「接続を確立する」ためのやり取りなどの通信の細かい部分は、コア・ネットワーク・レイヤだけですべて処理できます。これに対してVoIPサービスやIPTVサービスなどの提供は、アプリケーション・サーバの機能となります。

つまり、コア・ネットワーク・レイヤでできることは、すべてコア・ネットワークに任せておいて、それよりもさらに高度なサービスを提供したいというときに、アプリケーション・サーバ・レイヤの当社の製品の役割になります。

■IMSの動きについて、もう少し具体的に説明していただけますか。

高山 例えば、NGNネットワーク上で、加入者情報を持つのは図1中の「IMS CORE NETWORK」の上にある「HSS」です。この加入者情報の問い合わせを例にとってみましょう。

問い合わせ情報が、SIPで入ってきたときに最初に受けるのは、図1中の「IMS CORE NETWORK」の上にある「P-CSCF」です。「P-CSCF」がまず、プロキシ(代理)としてSIPのリクエストを受けます。その後、「S-CSCF」に入って、ここから「HSS」と加入者情報をやりとりし、その後、必要があればアプリケーション層に渡すという動きになるように、コンポーネント・ブロックが決められています。

■他社でもSIPサーバを提供していますが、御社の「SIP Server」との違いは何ですか。

高山 2004年に「SIP Server」を発表した際、IMS CoreレイヤのSIPサーバが提供されていたので、競合すると勘違いされましたが、当社の「SIP Server」はあくまでIMSのアプリケーションレイヤ上のもので、他社で言えばSIPアプリケーション・サーバに該当します。

■SDPとIMSの位置づけについて説明していただけますか。

高山 教科書どおりに言うと、SDPはIMSの中のアプリケーション・レイヤを構成するものです。ただ、当社社内での共通意識として、SDPはそれだけではないという思いも強くあります。それは、SDPは単にIMSだけではなく、これまで通信事業者が提供してきた通話や位置情報といったサービスを、電話網だけでなく、インターネットやNGNなどの別なネットワークでも使えるようにしたり、サードパーティとつないで新しいアプリケーションでも利用することもできるからです。

このように、「SIP Server」は、キャリアがエンドユーザーに対して提供するときの実行環境(サービス・イネーブラ)なのに対して「Network Gatekeeper」は、キャリア・サービスとサードパーティ・アプリケーションの間に位置し、課金(Billing)やそれに絡むセキュリティなどのサービスを管理しています。

キャリアは、従来の通信事業のモデルから、新しいビジネス・モデルに軸足を移そうとしています。エンドユーザーを囲い込んでいくような新しいサービスだけでなく、ここからは自分たちが持っているサービスを他の企業に貸し出すことによって、収益を上げようということも考えています。

今、特に携帯キャリアは1人当たりからもらう収益(ARPU )がどんどん下がってきている状況にあります。こうした背景もあって、キャリアが自分たちのサービスを貸し出すというビジネス・モデルは、NGNを提供する通信キャリアだけでなく、既存の内外の通信キャリアにおいて、非常に新しい流れとなっています。

ですから、これから「Network Gatekeeper」の役割は、ますます重要になっていくと思われます。

ARPU:Average Revenue Per User、契約者1人あたりの月額収入

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...