[特集]

BEAシステムズのNGN/SDP戦略(3):IMS上でサービスを提供するWLCPの具体的機能と位置づけ

2008/05/28
(水)
SmartGridニューズレター編集部

≪3≫位置情報、課金システム、SMS機能を利用したイタリアのトライアル例

■その他に、具体的なサービス例を紹介していただけますか。

高山 図4は、固定網と移動網を両方もっているイタリアの通信事業者テレコム・イタリアと、自動車メーカーのフィアット、そしてサービス・プロバイダによるサービス例です。

フィアットが販売している自動車「アルファロメオ」の2007年型が搭載している最新カーナビでは、ナビゲーション機能に加えて、コイン式の駐車場の空き情報などもサービス・プロバイダが提供しています。

例えば、カーナビによる駐車場の空き情報を利用して車を止めると、カーナビに「何分とめますか」というメッセージや、「30分500円です、1時間1,000円です」といったメッセージが出ます。そして、画面をポンと押してやると、駐車料金の支払い処理が、サービス・プロバイダ経由で通信キャリアのほうで行われます。また、車をおりて、町をウロウロしているときに、始めに設定した駐車時間が残り5分ぐらいになったら、「残り5分です」というメッセージが、キャリア・ネットワークを通じてケータイにメールで届く仕組みになっています。


図4 欧州キャリア2トライアル例(クリックで拡大)

■駐車場のシステムを、カーナビやケータイから利用できるわけですね。

高山 そうです。駐車場の残り時間のメッセージを受けた後は、そこで駐車場に戻ってもかまいませんが、その場でケータイから駐車時間を延長することもできます。延長する場合も駐車したときと同様で、キャリア・ネットワークを通じて、追加支払い処理が行われて課金されます。

このサービスのイメージを図5で説明しましょう。図5では通信キャリアがメッセージを送付するSMSの機能と課金(Billing)代行のサービスを、駐車場サービスを運営しているサービス・プロバイダに提供する仕組みとなっているのです。

図5 欧州キャリア2トライアル例(クリックで拡大)

■これも「Network Gatekeeper」が管理しているわけですね。

高山 そうです。この例のように、課金システムまで通信キャリアが開放すれば、先ほどの宅配ピザ業者の例でも、注文したピザの料金をケータイで済ませることもできます。

こうしたサービスでは、NGNのサービスとして提供されてはいません。しかし、今後、このようなサービスの発展形としてNGNを利用したものが今後出てくると思います。

>>「第4回」へつづく

プロフィール

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)

高山義泉(たかやま よしもと)

現職:日本BEAシステムズ株式会社 WLCPビジネスディベロップメント マネージャ

2006年 日本BEAシステムズ入社。
国内及びAPAC(アジア太平洋地域)テレコムビジネス開拓に従事、日本国内、APACのテレコムサービス、マーケット動向に精通。
2002年から、Javaを用いたテレコムアプリケーションのオープン化にも積極的に取組む。様々な"コミュニケーション"サービスの出現に期待している今日である。

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