[スペシャルインタビュー]

NTTぷららのNGN/IPTV戦略を聞く(2):地上デジタル放送IP再送信を実現した「ひかりTV」

2008/08/04
(月)
SmartGridニューズレター編集部

≪3≫「ひかりTV」の地上デジタル放送のIP再送信のしくみ

■地上デジタル放送のIP再送信については、ユーザーとしては今後の展開も含めてとても関心が深いところですが、放送局から、ユーザーのところにどのように番組が届くのか、その仕組みをご説明いただけますか。

板東浩二氏(NTTぷらら 代表取締役社長)
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)

板東 図3に、地上デジタル放送IP再送信のシステム構成の概要を示しました。

放送免許は原則として県単位になっています。例えば、ある県でIP再送信サービスを提供する場合、まず当社はその県に地上デジタル放送IP再送信のプラットフォームの設備を作る必要があります。そして、その県内の地上デジタル放送の電波を、当社のプラットフォームで受信し、それをIPに変換してNGN(NTT東西)に送信する。そのNGN(NTT東西)経由でユーザーは地上デジタル放送のIP再送信サービスを見られるということです。


図3 地上デジタル放送IP再送信のシステム構成の概要〔NTTぷらら資料より引用〕(クリックで拡大)

SNI:Application Server-Network Interface、アプリケーション・サーバとネットワークを接続するためのインタフェース
R:ルータ


■地上デジタル放送のIP再送信やVoDなど、各サービスの伝送速度はどの程度なのでしょうか。

板東 例えば地上デジタル放送のIP再送信であれば、ハイビジョン放送をH.264/AVCで圧縮して、だいたい14Mbps程度の伝送速度で送信しています。

VoDコンテンツの場合は、H.264/AVCで圧縮したハイビジョン映像の場合は、だいたい6Mbpsから7Mbpsぐらいです。

■VoDは地上デジタル放送の半分ぐらいの伝送速度なのですね。

板東 それから、標準画質の場合は、3M~4Mbpsぐらいで配信しています。

さらに、エンコーディング(符号化)のときのチューニングのやり方などによって、もっと圧縮比率を高めていくことは可能だろうと言われていますが、現時点では、H.264/AVCで送るにしても、品質を優先させれば帯域はやっぱり増えますし、逆に圧縮率を高めれば品質はそれなりに落ちてしまいます。

>>「第3回」へつづく

「第1回 NTTグループのIPTV戦略の核となる『ひかりTV』」へ<<


プロフィール

板東浩二氏(株式会社NTTぷらら 代表取締役社長)

板東 浩二(ばんどう こうじ)

現職:株式会社NTTぷらら 代表取締役社長

【略 歴】
1977年4月 日本電信電話公社(現NTT)入社
1991年2月 九州支社 ISDN推進室長
1993年3月 長距離事業本部 通信網システム部 担当部長
1996年3月 マルチメディアビジネス開発部 担当部長
1998年7月 現職就任

【表彰等】

2001年5月 社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 常任理事
2003年5月 電気通信協会 IT事業奨励特別賞 受賞
2008年   ブロードバンド・アソシエーション 理事


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