[展示会]

WiMAXからLTE、次世代PHSまで、次世代無線ネットワークが勢ぞろい =ワイヤレスジャパン2008=

2008/08/11
(月)
SmartGridニューズレター編集部

≪2≫2010年の商用サービスを目指すLTE機器が続々登場!

WiMAXよりもやや遅れての実用化(2010年)を目指すLTE(3.9G )も来場者から大きな関心を集めた。LTEは2008年末に3GPPで標準化が完了する予定となっているところから、LTE関連機器の展示やサービス・イメージのデモが展開された。

※1 LTE:Long Term Evolution、3GPPで標準化されている3Gの長期的高度化システム

〔1〕NTTドコモのスーパー3G(LTE)を実体験できるデモ

NTTドコモのスーパー3G(LTE)は、既存の3G用周波数帯を使用し、当面の伝送速度は下り100Mbps以上、上り50Mbps以上の高速通信を実現する〔LTEの規格: 最大伝送速度326.4Mbps/86.4Mbps(下り/上り、20MHz幅×2)〕。NTTドコモのLTE開発スケジュールによると、現在は、室内外での実証実験のフェーズにあり、来年の2009年末までに、商用に向けた機器が登場する(写真15)。

NTTドコモのブースでは、LTEを実体験できる野外実験用の移動局車両を設置。LTEの速度を実際に体験できるとあって、多くの来場者でにぎわった(写真16)。この移動局と基地局などのLTEのシステムは、富士通製のもので、富士通ブースでも、実証実験のデータの様子が展示された。


写真15 NTTドコモのスーパー3G(LTE)開発スケジュール(クリックで拡大)



写真16 NTTドコモのスーパー3G(LTE)を実体験できる野外実験用の移動局車両(クリックで拡大)


〔2〕富士通のLTEシステム

富士通のブースには、NTTドコモでの実証実験で利用されているLTEの基地局システムなども展示された。LTE基地局システムの実験では、1.7GHz帯で下り(基地局システムから移動局方向)および上り方向でそれぞれ20MHzの周波数帯域幅を使用。データ伝送速度は,4×4MIMOを利用時に上りが最大300Mbps、下りが75Mbps。伝送遅延は5msである。当日、NTTドコモのブースで行われた実証事件のデータは、富士通ブースのモニタに表示された(写真17)。


写真17 富士通のシステムを利用したNTTドコモでのLTE(ウルトラ3G)の実証実験のデータ(クリックで拡大)


〔3〕ファーウェイ・テクノロジーズのLTEソリューション

中国のIT最大手企業である華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は、日本市場を意識して、LTE基地局や製品を多数展示。ファーウェイは意欲的にLTE開発を行い、NGMN(※)や3GPP(※)、CSTI(※)などのLTEの標準化活動にも積極的に参加していることをアピールした。

展示されたLTE基地局(写真18)は、OFDMA(下り)、SC-FDMA(上り)、MIMOに対応、20MHz幅と10MHz幅を使い、対応周波数帯域は、2.6GHz、2.1GHz、1.5GHz、AWS(※)など。

※ NGMN:Next Generation Mobile Networks。既存のHSPA(HSDPAおよびHSUPA)などの方式に続く次世代移動通信ネットワークの実現を目的として英国で設立された法人。NTTドコモ、チャイナ・モバイル(中国)、KPN(オランダ)、Orange(仏)、Sprint Nextel(米)、T-Mobile(独)、Vodafone(英)の7社により設立、現在50社がパートナーとして参加
※ 3GPP:3rd Generation Partnership Project。IMT-2000 W-CDMAの仕様を作成するパートナーシップ・プロジェクト
※ LSTI:LTE/SAE Trial Initiative、LTE/SAEトライアル・イニシアチブ。LTE技術の商用化を目的に2007年2月に設立
※ AWS:Advanced Wireless Services。米国における3Gを含む移動通信のための周波数帯。1.710~1.755GHz(上り)/2110~2155GHz(下り)、5/10MHz、FDD免許バンド
※ SAE:System Architecture Evolution、3GPPで標準化が進められている、W-CDMAをベースに発展させた、オールIP化によるコア・ネットワーク・アーキテクチャ
※ HSPA:High-Speed Packet Access。下りの高速化を実現するHSDPAと、上りの高速化を実現するHSUPAの総称
※ HSDPA:High-Speed Downlink Packet Access。3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された規格で、下り最大14Mbps
※ HSUPA:High-Speed Uplink Packet Access。3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された規格で、上り最大5.7Mbps


写真18 ファーウェイのLTE基地局(試作機)(クリックで拡大)


このほか、WiMAX対応製品についても、個人用PCカードやUSB機器、小型アクセス・ポイントなど豊富なラインナップを展示した。

さらに、後述するが、FMCのカギとなるデバイスとして注目されているフェムトセルも展示していた。

〔4〕LTE/WiMAX関連のテスト機器、計測機器

LTEやWiMAXシステムの開発に欠かせない各種テスト機器なども意欲的に出展された。

計測機器ベンダのアジレントテクノロジーズは、WiMAX用のテスト機器とともに、LTE用のテスト機器も展示。LTE端末のRF(※)テスト環境から、プロトコル開発・評価ツールなどまで、幅広いテスト環境に対応していることをアピールした(写真19)。

「N9020A MXAシグナル・アナライザ」は、LTE向けのRFテスト環境。業界最高速の信号/スペクトル解析速度(30~300%高速)と性能を備える

「E6620A無線通信テスト・セット」は、LTE向けのプロトコル開発・評価ツール。初期のプロトコル開発からRFコンフォーマンス・テスト/相互接続性テストまで、柔軟にテストできる。

※ RF:Radio Frequency、無線周波数


写真19 アジレントテクノロジーズのLTEテスト・ソリューション。「N9020A MXAシグナル・アナライザ」(左)、
「E6620A無線通信テスト・セット」(右)(クリックで拡大)


ABITの出展したLTEテスト装置「AQ-20シリーズモデル100」(写真20)は、LTEに対応したLTE信号レイヤ1モニタ装置。ユーザーのプログラミングによる機能追加なども可能で、拡張性が高いのが特徴となる。


写真20 ABITのLTEテスト装置「AQ-20シリーズモデル100」(クリックで拡大)


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