[スペシャルインタビュー]

真のモバイル・ブロードバンド時代を実現するUQ WiMAXのサービス戦略を聞く(第3回)

2009/04/21
(火)
SmartGridニューズレター編集部

UQコミュニケーションズは、去る2009年2月26日から、どこでもブロードバンド・アクセスを可能とする「UQ WiMAX」サービスを東京23区・横浜市・川崎市の一部で開始。オープンなモバイル・ブロードバンド時代の幕開けを告げた。この歴史的な「UQ WiMAX」サービスは、モバイルWiMAX(IEEE 802.16-2005)に準拠した世界基準のブロードバンドであり、大きな注目を集めている。ここでは、UQコミュニケーションズ(株)取締役 執行役員副社長の片岡 浩一(かたおかこういち)氏に、同社のモバイルWiMAXの取り組みの経緯から、そのビジネス・モデル、「UQ WiMAX」サービスへのユーザーの反響、さらに今後の展開などをお聞きした。
今回(第3回)は、UQ WiMAXサービスの特徴、WiMAXモジュール内蔵のパソコン、新しく開発された「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」などについてお話いただいた。
(聞き手:インプレスR&D インターネットメディア総合研究所)

真のモバイル・ブロードバンド時代を実現するUQ WiMAXのサービス戦略を聞く

≪1≫当面は時速200km、次世代は時速350kmのモビリティに対応

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ執行役員副社長)
片岡浩一氏
(UQコミュニケーションズ
執行役員副社長)

■ 図1表1に示すように、UQ WiMAXサービスは5つ特徴を持っていると発表されています。この中で、モビリティ(移動スピードへの対応)については、モバイルWiMAX(IEEE 802.16e-2005)規格では、自動車で走る場合を想定して時速120kmとなっていますが、表1では200km超の高速移動にも可能となっています。この辺は実証されたのでしょうか。

片岡 シミュレーション実験を行いましたが、時速200kmまでは実用的に、メガクラス(Mbpsクラス)までのスループット(実効速度)が出ることを確認しています。

■ 新幹線のスピードへの対応にはもう少し高速化が必要ですね。

片岡 そうですね。WiMAXフォーラムでは、新幹線程度のスピードで利用できるような検討もあわせてやっています。具体的には、次世代のIEEE 802.16m規格では、時速350kmまでのスピードに対応できる仕様になっています。なお、当面、新幹線の中には無線LAN(Wi-Fi)のサービスが提供されますので、不自由するということはないと思います。


図1 UQ WiMAXの5つの特徴(説明は表1参照)(クリックで拡大)


表1 UQ WiMAXの5つの具体的な特徴

  5つの特徴 内 容
1 High Speed 広帯域・大容量。下り最大40Mbpsを実現。将来は80Mbpsへの拡張を予定。
(実効速度はユーザーの利用環境によって異なる)
2 Mobility 高速移動性。時速200km超の高速移動中でも利用可能。
3 Always On 常時接続。
4 Global Standard 世界標準規格。IEEE 802.16e-2005に準拠したモバイルWiMAX。
5 OTA Over The Air。WiMAXの電波でオンライン申込み(ショッピング)も可能。

 

≪2≫WiMAXモジュール内蔵のパソコンは2009年7月頃に登場

■ ところで、前回、差し込み型のWiMAX用データ通信カードを4機種紹介しましたが、これらを内蔵したWiMAXパソコンはいつ頃から市場に出てくるのでしょうか?

片岡 WiMAXチップ(モジュール)を搭載(内蔵)したノート・パソコンは、UQ WiMAXの有料サービスが開始される、本年の夏(2009年7月)ごろから市場に出てくると思います。

インテルでは、ユーザーがより簡単にWiMAXを利用できるように、すでに無線LAN(Wi-Fi)とWiMAXの両方をサポートする通信モジュールを内蔵したノート・パソコンを提供するために、国内外のノート・パソコン・メーカーと協力しています。したがって、今年(2009年)7月以降に、この通信モジュールを搭載したノート・パソコンが登場するようになると、ユーザーは、無線LAN(802.11a/g/n)もWiMAXも利用できるようになります。

また、表2に示すように、すでに、日本市場におけるWiMAXへの取り組みに賛同いただいている国内外のコンピュータ関連メーカーは、14社に上っており(2009年2月26日現在)、今年末から来年にかけて、いろいろなメーカーから多彩なWiMAX内蔵パソコンが出てくると思います。

表2 日本市場におけるWiMAXへの取り組みの賛同メーカー(2009年2月26日現在)

メーカー名 メーカー名
ASUS(アスース)ジャパン(株) (株)東芝
エプソンダイレクト(株) 日本エイサー(株)
オンキヨー(株) NECパーソナルプロダクツ(株)
クラリオン(株) 日本ヒューレット・パッカード(株)
シャープ(株) パナソニック(株)
ソニー(株) 富士通(株)
デル(株) レノボ・ジャパン(株)

≪3≫「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」の開発

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)
片岡浩一氏
(UQコミュニケーションズ
執行役員副社長)

■ ところで、WiMAXを屋外で使用する場合には、WiMAX端末は屋外のWiMAX基地局から電波を受信して通信しますが、帰宅して屋内(家庭内)に入った場合も電波は受信できるのでしょうか?

片岡 基本的にWiMAXで使用される電波の周波数は2.5GHz帯と高い周波数帯を使っているため、電波の性質上、家庭の中まで回り込んで家庭内に届きにくい面があります。

可能な限り家の中に届くようにさせようとはしています。ただし、その場合は、それなりの数の基地局が必要とされます。現在は基地局の建設途上のところです。そこで私たちは、WiMAX Wi-Fiゲートウェイを開発しました(図2)。


図2 UQ WiMAXゲートウェイのイメージ図(クリックで拡大)


■ そのゲートウェイは、家庭内に設置され、外部からのWiMAXの電波を受信し、ゲートウェイから家庭内の端末(パソコン)へは無線LAN(Wi-Fi)の電波を飛ばして通信するのですか。

片岡 そうです。このたび、UQ WiMAXサービスの利用環境を向上させるために開発した「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」(「UG01OKとUD01OK」、表3表4参照)を、4月末から利用できるようにモニターの募集を行いました。

この「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」は、

(1)WiMAX Wi-Fiゲートウェイ部分(UG01OK、表3:外部からのWiMAXの電波を受信して、Wi-Fiへ変換し、室内では無線LAN環境で通信できるようにするWiMAX⇔Wi-Fi変換機能〔注:ただし、4種のUQデータ通信カード(UD01SS、UD02SS、UD01NA、UD02NA)との接続(通信)はできない〕
(2)データ通信カード部分(UD01OK、表4):取り外し可能なUSBタイプのデータ通信カード機能〔ゲートウェイ部分(UG01OK)に装着し、パソコンと通信するためのUSBタイプのカード。この組み合わせで無線LANのアクセス・ポイントとなる)。このカードは、外部ではそのままWiMAXと直接通信できる〕

という「UG01OK」と「UD01OK」の2つがセットで構成されています(写真1)。これによって、屋内からはWi-Fi接続経由でWiMAXネットワークに接続できるとともに、外出時にはWiMAX用のUSBタイプのデータ通信カード(UD01OK)を単体として利用できるようになっています。


写真1 WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット


写真1-1 WiMAX Wi-Fiゲートウェイ部分(UG01OK)

写真1-2 データ通信カード部分
(UD01OK)


表3 WiMAX Wi-Fi ゲートウェイ部分の仕様

項 目 内 容
製品名 WiMAX Wi-Fi GATEWAY UG01OK
無線動作モード IEEE 802.11b/g 準拠
セキュリティ (1)WEP(64/128ビット)、WPA-PSK、WPA2-PSKによる通信暗号化
(2)MACアドレスフィルタリング、SSIDの隠蔽
消費電力 7.5W(UD01OK装着、WiMAX接続時)
サイズ
(W×D×H)
約120mm×35mm×90mm(突起物を除く)
重量 約150g(ゲートウェイ本体のみ)
製造元 株式会社OKIネットワークス

WEP:Wired Equivalent Privacy、802.11で制定された無線LANの暗号方式
WPA:Wi-Fi Protected Access、Wi-Fiアライアンスによって制定され、WEPの弱点を強化した無線LANの暗号方式
WPA-PSK:WPA- PreShared Key、WPAにおける事前共有鍵。PSK2はWPAと互換性のある802.11iの暗号方式にフルに対応した暗号方式
SSID:Service Set Identifier、サービス・セット識別子。無線LANで基地局(アクセスポイントを識別するための識別子)


表4 データ通信カード部分の仕様

項 目 内 容
製品名 WiMAX USB TYPE UD01OK USB2.0準拠
対応OS Windows Vista(R)32bit版、Windows(R) XP32bit版 
(Service Pack2またはService Pack3)対応OSは日本語版
消費電力 2.5W(最大)
サイズ
(W×D×H)
約35mm×15mm×74mm
(USBコネクタ収容時、突起物を除く)
重量 30g
製造元 株式会社OKIネットワークス
同梱物 かんたん設定マニュアル(WiMAX接続編/Wi-Fi接続編)、保証書、CD-ROM(マニュアル)、ACアダプターなど

--つづく--


プロフィール

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)

片岡 浩一(かたおか こういち)

現職:UQコミュニケーションズ株式会社 取締役 執行役員副社長

【略 歴】
1985年 DDI株式会社入社
2002年 KDDIブロードバンド企画部長
2004年 KDDIブロードバンドコンシューマ事業本部プロダクト統轄部長
2005年 KDDIブロードバンドコンシューマ事業企画部長
2006年 KDDIネットワークソリューション事業本部
    ネットワークソリューション事業企画部長
2007年 KDDIソリューション事業統轄本部 ソリューション商品企画本部長
    ワイヤレスブロードバンド企画株式会社
    (現、UQコミュニケーションズ株式会社) 取締役
2008年 現職に至る


 

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