真のモバイル・ブロードバンド時代を実現するUQ WiMAXのサービス戦略を聞く(第1回)

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2009年3月30日 (月曜) 0:00

UQコミュニケーションズは、去る2009年2月26日から、どこでもブロードバンド・アクセスを可能とする「UQ WiMAX」サービスを東京23区・横浜市・川崎市の一部で開始。オープンなモバイル・ブロードバンド時代の幕開けを告げた。この歴史的な「UQ WiMAX」サービスは、モバイルWiMAX(IEEE 802.16-2005)に準拠した世界基準のブロードバンドであり、大きな注目を集めている。ここでは、UQコミュニケーションズ(株)取締役 執行役員副社長の片岡 浩一(かたおかこういち)氏に、同社のモバイルWiMAXの取り組みの経緯から、「UQ WiMAX」サービスへのユーザーの反響、WiMAXにおける新しいビジネス・モデル、さらに今後の展開などをお聞きした。今回(第1回)は、UQ WiMAXサービスの内容、サービスに至るまでの歴史的展開、WiMAXを選択した背景などを中心に語っていただいた。
(聞き手:インプレスR&D インターネットメディア総合研究所)

真のモバイル・ブロードバンド時代を実現するUQ WiMAXのサービス戦略を聞く(第1回)

≪1≫5000名のモニターからの反応はおおむね良好!

■ このたびは、2009年2月26日から日本初の、また世界でも先進的なモバイルWiMAX「UQ WiMAX」サービス(表1)の提供が開始され、おめでとうございます。

片岡 ありがとうございます。お陰様で、「UQ WiMAXサービス」スタート日(2009年2月26日)の記者会見の会場は満席となり、おおきな反響でした。この日から約4ヵ月にわたるお試し期間(2009年2月26日~2009年6月30日)の「UQ WiMAX」サービスが無事スタートしホッとしているところです(写真1、写真2・表2)。この約4ヵ月のお試し期間は、モニターの方には、「基本使用料・登録が無料」で、「UQ WiMAX」用のデータ通信カードも無償で貸与されています。記者会見でも申し上げました通り、このお試し期間のユーザーモニターを5000人に限定して募集したところ、短期間(13日間)にも関わらず約2万名の方からお申込みをいただきました。

表1 UQ WiMAXサービスの内容
項 目内 容
サービスブランド名UQ WiMAX
サービス内容高速モバイルインターネット接続サービスの提供
お試し期間
(モニター期間)
2009年2月26日~2009年6月30日(東京23区、横浜市、川崎市)
(1)期間中の基本使用料、登録料ともに無料
(2)期間中のデータ通信カード無償貸与(モニター対象)
(2009年6月30日までのモニター数は5000人)
料金プラン2009年7月1日より
定額プラン「UQ Flat」(基本使用料):4,480円/月(税込)
(注1):別途登録料:2,835円(税込)が必要。
(注2):お試し期間に引き続き2009年7月1日以降も継続して利用するユーザーは4,480円/月(税込)が発生する。新規加入者は4,480円/月(税込)+登録料:2,835円(税込)が発生する。
データ通信カード費用1万2,800円~1万3,800円(税込)が別途かかる。
サービスエリア2009年7月からの有料サービス開始までに、上記の東京23区、横浜市、川崎市に加えて、首都圏、京阪神/名古屋にサービスエリアを拡大。2012年度末に全国主要エリアをカバー(人口カバー率90%超)

オプション
(料金無料)

(1)公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」
(2)サービス提供箇所:東海道新幹線、ほか主要交通機関
(3)提供時期:2009年秋予定
(注):「UQ Wi-Fi」は、N700系の車内のほか、停車する17駅の全コンコース待合室で提供される。

写真1:満席となったUQ WiMAXサービス・スタート日(2009年2月26日)記者会見の模様


写真2 来賓およびUQ コミュニケーションズ株主による開通式のセレモニー(参加者名は表1参照)

表2 写真2のセレモニー参加者の氏名:左から
川西 孝雄氏株式会社三菱東京 UFJ 銀行 代表取締役副頭取
山村 雄三氏京セラ株式会社 代表取締役副会長
吉田 和正氏インテル株式会社 代表取締役社長
石崎 岳氏総務副大臣
田中 孝司氏UQ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長
小野寺 正氏KDDI 株式会社 代表取締役社長兼会長
椎橋 章夫氏東日本旅客鉄道株式会社 執行役員
吉留 真氏株式会社大和証券グループ本社 代表執行役副社長

■ 早速ですが、モニターからの反応はいかがですか?

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)
片岡浩一氏
(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)

片岡 いろいろな反響をいただいていますが、おおむね良い印象をいただいています。まだ、WiMAX無線基地局を増設中のため、場所によっては伝送速度にばらつき生じていますが、条件のよい場所(比較的基地局に近い場所)では下りで10Mbps以上のスループットが出ています。

■ UQ WiMAXサービスの場合、表3に示すように、仕様上の伝送速度は、下り40Mbps、上り10Mbpsということですね。

片岡 記者の皆様も体験されましたように、2009年2月3日の帝国ホテルの記者会見の時のデモでは、下りが16Mbps程度、上りが4Mbps程度が出ていました。今後、ユーザー数が増えてくることを予測し、また全国展開を目指して基地局を増設していきますので、実行速度が安定的に提供できるようにしていきたいと思っています。


表3 UQ WiMAXサービスの主なシステムの仕様
項 目内 容
基本規格802.16e-2005準拠のWiMAXフォーラム・モバイル・システム・プロファイル
使用周波数2.595~2.625GHz(30MHz幅):モバイルWiMAX(全国バンド)
チャネル帯域幅10MHz幅
最大伝送速度下り40Mbps
上り10Mbps
複信方式TDD(時分割複信方式)
MIMOMatrixA、MatrixB
ハンドオーバーLayer2HO(レイヤ2ハンドオーバー)、p-mip(プロキシー・モバイルIP)、c-mip(クライアント・モバイルIP)対応

≪2≫WiMAXで新しいビジネス・モデルを!

■ ところで、表4にWiMAX関連の略史をまとめてみましたが、片岡副社長さんは、いつ頃からWiMAXのプロジェクトに関係されるようになったのですか?

片岡 私が当社のWiMAXのプロジェクトに参加したのは、ごく最近のことで、具体的には2007年3月頃からです。

すでにご承知の通り、WiMAXに関する標準化や技術的な内容につきましては、当社の技術陣が米国で2004年頃からIEEE 802.16(WiMAXの標準組織)に参加したり、KDDI研究所で技術的な開発を行っていました。

その後、KDDIとしては新しい技術に積極的に取り組むということで、ビジネスとして事業として成り立つかどうかということを検討しながら、まず4年前の2005年6月に、大阪地区の中心部(心斎橋など)でIEEE 802.16e規格(モバイルWiMAX)に準拠した無線システムの移動環境における基礎的な無線伝送実験を行いました。この実験に成功したことを背景に、同年7月から、本格的な性能評価を目的とした実証実験を開始しました。そのころは、WiMAXへの関心は高かったもののその評価が定まらない時期でもあり、他の事業者さんではあまり取り組まれていませんでした。

通信事業の分野は、技術革新が速いため、絶えず次の技術、次の技術と取り組んでいかないとだめなところがありますので、そういう意味からもWiMAXをいち早く注目してきたのです。このような流れの中で私が当社のWiMAXのプロジェクトに参加したのです。

■ どのようなミッションからWiMAXのプロジェクトに参加されたのでしょうか?

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)
片岡浩一氏
(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)

片岡 私は、どちらかというと技術方というよりも事業方の立場だったのです。KDDIは、通信事業者としてコンシューマ向け(一般ユーザー向け)ビジネスと、法人向け(企業ユーザー向け)ビジネスの両方がありますが、そのころは、当社の企業向け(法人向け)のビジネスの商品企画を担当していました。ですから、WiMAXをどのようにビジネスとして成長させていくかということについて、具体的にWiMAXプロジェクトに参加する以前から、社内でも長い間、検討していました。その中で、WiMAXは、従来の携帯電話のようなコンシューマ向けの切り口のビジネスから法人向けビジネスとしての可能性を再度、検討してみようというプロジェクトを立ち上げた時点から、私が合流しました。プロジェクトで、WiMAXのビジネス・モデルを検討していたころに、総務省からWiMAXに関する免許付与方針が出てきました。

■ 具体的にはいつでしたか?

片岡 総務省が日本の2.5GHz帯(BWA:Broadband Wireless Access)の周波数割り当て方針を決めたのが2007年7月で、総務省から具体的にUQコミュニケーションにモバイルWiMAX(全国バンド)用の2.595~2.625GHz(30MHz幅)が割り当てられたのは2007年12月21日(事業免許)です。このように当社(UQコミュニケーションズ)は、2.5GHz帯の事業免許(正式には「特定基地局の開設計画の認定」)を取得しましたが,この「特定基地局の開設計画の認定」に基づいて、商用のための無線局免許を申請し、2008年8月27日に,2009年に商用化を予定するモバイルWiMAXの無線局免許を取得しました。WiMAXのようなワイヤレス・ブロードバンドの通信事業を行うために、ビルの屋上などに無線基地局を設置するには,1局ごとに免許を申請・取得する必要があるのです。

表4 WiMAX(IEEE 802.16)の略史とUQ WiMAXサービス開始まで
年 月内 容
1999年7月【IEEE 802.16WG設立】
IEEE 802.16(BWA:Broadband Wireless Access)ワーキング・グループが設立され無線MAN(Wireless Metropolitan Area Network)の標準化を開始
2004年6月【IEEE 802.16-2004標準完了】
固定WiMAX規格「802.16-2004」の標準化を完了
2005年6月【KDDI、実証実験を開始】
KDDIは、IEEE 802.16e規格に準拠した無線システムの移動環境における基礎的な無線伝送実験(大阪地区中心部)に成功。同年7月から、本格的な性能評価を目的とした実証実験を開始した。
2005年12月【IEEE 802.16-2005標準完了】
モバイルWiMAX「802.16-2005」の標準化を完了(802.16-2004を補足・修正した規格)
2006年2月【KDDI、WiMAXの実証実験を公開】
KDDI大阪市中心部においてモバイルWiMAXの実証実験を公開
2007年7月【総務省:日本の2.5GHz帯(BWA)の周波数割り当て方針】
(1)2.545~2.575GHz(30MHz幅):次世代PHS(全国バンド)
(2)2.575~2.595GHz(10MHz幅):地域WiMAX(地域バンド)
(3)2.595~2.625GHz(30MHz幅):モバイルWiMAX(全国バンド)
2007年8月29日【ワイヤレスブロードバンド企画、設立】
モバイルWiMAX事業企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社」設立(KDDI、インテルなど)
2007年10月【第6番目のIMT-2000陸上無線インタフェースとして承認】
RA-07(ITU-R無線通信総会)にて、モバイルWiMAX(正式名称:OFDMA TDD WMAN)をITU-R勧告M.1457(IMT-2000標準規格を定めた勧告)にて、第6番目のIMT-2000陸上無線インタフェースとして追加することを承認(勧告M.1457の第7版)。
【既存の5つのインタフェース】
(1)CDMA Direct Spread(W-CDMA、日・欧の提案)
(2)CDMA Multi-Carrier(CDMA2000、米国の提案)
(3)CDMA TDD(TD-SCDMA:Time Division-Synchronous CDMA、中国の提案)
(4)TDMA Single-Carrier(EDGE、UWC-136。米国の提案)。
(5)FDMA/TDMA(DECT)(欧州の提案)
2007年12月21日【UQのモバイルWiMAXに特定基地局開設計画を認定】
総務省、UQコミュニケーションズ(旧:ワイヤレスブロードバンド企画)へ、モバイルWiMAX用の全国バンドを割り当て。
2008年3月1日【UQコミュニケーションズへ社名変更】
ワイヤレスブロードバンド企画株式会社の社名を「UQコミュニケーションズ株式会社」に変更
2008年8月27日【WiMAX基地局免許取得】
UQコミュニケーションズ、総務省関東総合通信局から、首都圏の数カ所に無線局を開設する免許を取得。
2008年8月29日【WiMAX基地局第1号完成】
UQコミュニケーションズ、2.5GHz帯を使用するモバイルWiMAXサービス用の基地局の第1号が完成したと発表。
2008年12月19日【UQ WiMAXサービス開始の記者会見】
「UQ WiMAX」〔モバイルWiMAX(IEEE 802.11e-2005)〕サービスの提供開始と無料モニター募集の記者会見
2009年2月26日【UQ WiMAXサービス開通式の記者会見】
UQ WiMAXサービス開通(お試し期間)。同時に「UQ WiMAXサービス開通式」記者会見
2009年7月1日UQ WiMAXの有料サービス開始

≪3≫モバイルWiMAXの事業企画会社を設立!

■ このような流れの中で、多少前後しますが、KDDIやインテル、京セラなどによってモバイルWiMAXの事業企画会社として「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社(2007年8月29日)が設立され、その後2008年3月1日に社名を「UQコミュニケーションズ株式会社」に変更されたのですね。

片岡 そうです。表5に示すようにUQコミュニケーションズは、KDDI、インテルなど6社の株主、200名の社員で構成されています(2009年2月現在)。現在の田中孝司社長とは、WiMAXの商用のための無線局免許の申請やビジネス・モデルのプロジェクトを立ち上げることなどを通じて、ともに強く協力し合う形の体制が構築され、今日に至っています。

表5 UQコミュニケーションズの会社概要
項 目内 容
社名UQコミュニケーションズ株式会社
(英文名称:UQ Communications Inc.)
(注:2008年3月1日に「ワイヤレスブロードバンド企画」から社名変更)
代表者代表取締役社長 田中 孝司
社員数200名 (2009年2月1日現在)
設立2007年8月29日
資本金および 資本準備金170億円
本社所在地東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー
株主KDDI株式会社(32.26%)
Intel Capital Corporation(17.65%)
東日本旅客鉄道株式会社(17.65%)
京セラ株式会社(17.65%)
株式会社大和証券グループ本社(9.80%)
株式会社三菱東京UFJ銀行(5.00%) 

注:新社名の由来:UQコミュニケーションズの「U」には普遍的(Universal)、ユビキタス(Ubiquitous)、「Q」には高品質(Quality)、大容量(Quantities)、高速(Quickness)の意味が込められている。

--つづく--


プロフィール

片岡浩一氏(UQコミュニケーションズ 執行役員副社長)

片岡 浩一(かたおか こういち)

現職:UQコミュニケーションズ株式会社 取締役 執行役員副社長

【略 歴】
1985年 DDI株式会社入社
2002年 KDDIブロードバンド企画部長
2004年 KDDIブロードバンドコンシューマ事業本部プロダクト統轄部長
2005年 KDDIブロードバンドコンシューマ事業企画部長
2006年 KDDIネットワークソリューション事業本部
    ネットワークソリューション事業企画部長
2007年 KDDIソリューション事業統轄本部 ソリューション商品企画本部長
    ワイヤレスブロードバンド企画株式会社
    (現、UQコミュニケーションズ株式会社) 取締役
2008年 現職に至る 


 

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