2015年7月6日、経済産業省は、日本国内における電力先物市場について、「電力先物市場協議会」の報告書を公表した。
「電力先物市場協議会」は、2016年に電力システム改革の第2段階である電力小売全面自由化が施行予定であることを踏まえ、日本国内における電力先物市場の望ましい枠組みについて、電気事業者、電力需要家、金融機関、商品取引所などの実務担当者によって検討・協議するために設置された。2015年3月からを計5回の協議会が開催されている。
報告書では、これまでの検討内容を踏まえ、今後の電力先物市場の創設に向けた対応の方向性をまとめている。報告書の概要は次の通り。
◆報告書の概要
- 望まれる電力先物市場の枠組み
ベースロード、日中ロード(平日8時~18時)の電力を先物市場に上場。
標準的な取引に集中させて取引量を高める観点から、システムプライス(全国の電力需給に基づいた価格)の電力を上場すべき。
決済方式は、送電制約を踏まえ、現物受け渡しではなく差金決済。最終決済価格は日本卸電力取引所のスポット取引市場の「月間平均価格」にすべき。
- マネーゲームの防止策
上場認可に際しては、商品先物取引法に基づいて、電力の安定供給や適正な電力価格の形成に悪影響が及ばないよう、経済産業省が適切に判断(現物取引の厚みを見ながら、国が認可判断)する。
上場後についても、商品取引所において、建玉制限(売買量の制限)、サーキットブレーカー(市場が過熱した際に取引を一時中断)などの仕組みを導入し、現物取引の監視と連携して対応を行うことが重要。
- 今後について
本協議会の検討を踏まえ、商品取引所や各事業者において準備を進め、 2016年の小売全面自由化後、可及的速やかに電力先物を上場すべき。
■リンク
経済産業省