東北電力は2017年3月23日、同社の研究開発センター(仙台市青葉区)に水素製造装置を設置したと発表した。再生可能エネルギー由来の電力は、気候変化などの要因によって出力が大きく変動する。その変動を水素製造装置と蓄電池を組み合わせて吸収することを狙った研究を進める。研究機関は2017年3月から2019年3月までの2年間。
再生可能エネルギーの出力変動は「速くて小さな」短周期変動と、「遅くて大きな」長周期変動に分けることができる。短周期変動が発生すると、交流の送電周波数が変動し、送電設備や、家電製品などに異常が発生する。最悪の場合は破損してしまう恐れがある。長周期変動については、火力発電所の出力を調整することで対応しているが、火力発電所に掛かる負荷が軽いときは、出力を下げきれず、余剰電力が発生してしまうという問題がある。
今回の研究では、短周期変動を蓄電池で吸収し、長周期変動を水素製造装置で吸収すること を狙っている。具体的には、蓄電池と水素製造装置の最適な分担などについて実際の機器を使って検討する。
図 短周期変動を蓄電池で、長周期変動を水素製造装置で吸収することを狙う
出所 東北電力
この研究のために研究開発センターに出力50kWの太陽光発電設備をはじめ、蓄電容量67kWh、出力50kWの蓄電池、水電解水素製造装置、水素吸蔵合金を使用した水素貯蔵タンク、燃料電池を揃えた。水電解水素製造装置は太陽光発電設備の電力で動作し、1時間に5Nm3の水素を製造する能力がある。水素貯蔵タンクは220Nm3の水素を貯蔵する。これは電力にすると300kWhに相当するという。貯蔵した水素で燃料電池を駆動させて、電力を作り出す。燃料電池の出力は9.9kW。
東北電力は再生可能エネルギーによる電力の受け入れ能力を引き上げるために、西仙台変電所と南相馬変電所に蓄電池を設置して、出力変動の吸収に取り組んでいる。今回の研究は、すでに2カ所設置済みの蓄電池と同様に効果を、水素製造装置と蓄電池に組み合わせに期待するものだという。
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東北電力