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九州大学と東京ガス、燃料電池の効率を飛躍的に高める革新技術の理論設計に成功

2015/07/29
(水)
SmartGridニューズレター編集部

2015年7月29日、九州大学(福岡市西区、総長:久保 千春)次世代燃料電池産学連携研究センター(以下:NEXT-FC)/大学院工学研究院の佐々木一成主幹教授、松崎 良雄客員教授、立川雄也特任助教らの研究グループは、東京ガス株式会社(以下:東京ガス、東京都港区、代表取締役社長:広瀬 道明)基盤技術部との共同研究で、高効率発電を特長とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)※1の発電効率をさらに飛躍的に向上させる革新技術の理論設計に成功したことを発表した。

SOFCの2つ以上のセルスタック※2を燃料の上流から下流へ燃料の流れに沿って多段に配置した構成において、固体電解質内部の電荷担体(イオン)を従来の酸化物イオン(O2-)からプロトン(H+)に置き換えた場合に、発電効率として80%LHV※3を超える“超高効率”が発現することをそのメカニズムとともに世界で初めて示すことに成功した。
 

このような超高効率で行われる化石燃料から電力へのエネルギー変換は、環境性の高いスマートエネルギー社会実現に向けた基幹エネルギー技術として期待される。また、この成果は、エネルギー変換材料の研究開発の方向性にも重要な知見を与えるものとなる。
同研究成果は、2015年7月28日午前10時(英国時間)に科学誌 Nature 姉妹紙のオンラインジャーナル『Scientific Reports』で公開された。


※1 固体酸化物形燃料電池(SOFC)::固体電解質と呼ばれる、イオンが伝導可能なセラミックスを用いた高温で作動する燃料電池、Solid Oxide Fuel Cell。

※2 セルスタック:セルと呼ばれる発電を行う部位を直列に連結させた集合体。

※3 LHV:Lower Heating Valueの略。燃料の燃焼熱に水分の凝縮熱を含めない時の効率値。

■リンク
九州大学
東京ガス

 

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