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九州大学のキャンパス内で自動運転バスの実証実験実施へ、2018年の本格サービス開始に向けて

2016/12/13
(火)
SmartGridニューズレター編集部

九州大学、NTTドコモ、ディー・エヌ・エー、福岡市は、自動運転バスの実証実験を実施すると発表した。

九州大学、NTTドコモ、ディー・エヌ・エー、福岡市は2016年12月13日、九州大学の伊都キャンパス(福岡市西区)内で、自動運転バスの実証実験を実施すると発表した。実験は2017年1月から開始の予定。

この実証実験は、九州大学伊都キャンパス内での自動運転バスサービスを本格的に提供することを視野に入れて実施するもの。スマートモビリティ推進コンソーシアムが2018年下期に伊都キャンパス内でのサービス開始を目指している。その目標を見据えて、今回実験を実施する4者はサービス開始までのロードマップを描いている。

図 サービス開始までのロードマップ

図 サービス開始までのロードマップ

出所 NTTドコモ

ロードマップには、「安全性向上」「利便性向上」「社会受容性向上」の3本の柱がある。本格サービス開始のためには、この3点で改善を進めていく必要があると考え、そのために段階的な走行試験実施などの計画を立てている。走行試験は下図のように、封鎖環境から始め、擬似的な交通環境、交通量が少ない環境、交通量が多い環境と、少しずつ難易度を上げながら実施していく。

図 走行試験の計画

図 走行試験の計画

出所 NTTドコモ

運行を支える周辺システムの整備も必要だ。ロードマップでは「歩行者/道路の安全装置」「運行管制システム」「音声エージェント」の開発計画を掲げているが、当面は音声エージェントを除く2つのシステムの検証を進める。

歩行者/道路の安全装置としては、「P2X(Pedestrian to Everything)」という考えに基づいたシステムを開発する。この考え方は、交通事故をなくすためには、自動車側が対策するだけでなく、歩行者が何らかの形の安全装置を携帯することが必要とする考え。NTTドコモとディー・エヌ・エーは、この考え方に基づいて、スマートフォンを利用したシステムを開発した。歩行者が携帯するスマートフォンと自動運転バスが搭載するタブレットがWi-Fi Directで直接通信し、お互いに接近していることを検知したら通知を出すシステムだ。

図 歩行者が持つスマートフォンと自動運転バスが搭載するタブレットが直接通信して、接近しているときには通知を出す

図 歩行者が持つスマートフォンと自動運転バスが搭載するタブレットが直接通信して、接近しているときには通知を出す

出所 NTTドコモ

運行管制システムにも、スマートフォンを利用する。バス停にビーコンを設置し、バス停に並んでいる人が持っているスマートフォンから待ち行列の長さを検知し、スマートフォンの専用アプリから運行管制センターに、待っている人数を知らせる。運行管制センターはその情報を受けて、自動運転バスに指示を出す。

図 バスを待っている人が持つスマートフォンの専用アプリから、運行管制センターに待っている人数を伝える

図 バスを待っている人が持つスマートフォンの専用アプリから、運行管制センターに待っている人数を伝える

出所 NTTドコモ

このシステムについては、2018年の本格サービス開始までに一新する予定。新しいシステムでは、NTTドコモが持つリアルタイムで移動需要を予測する技術と人工知能を利用して、移動需要を先読みし、最適ルートで運行する「オンデマンドバス」の実現を目指すとしている。


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