[イベント]

IoTの国際標準を目指して「IEEE P2413」が発足

― インターネット協会もIoT推進委員会を設立 ―
2015/10/11
(日)
SmartGridニューズレター編集部

2015年9月4日、東京のTKP赤坂駅カンファレンスセンターにおいて、「IoT グローバルビジネス戦略シンポジウム」が開催された(一般財団法人インターネット協会 IoT推進委員会主催)注1。同シンポジウムは、2015年4月1日にインターネット協会内に設立された「IoT推進委員会」による第1回目のシンポジウムで、IoT推進委員会とそのワーキンググループの概要説明と、IEEE-SA注2 プレジデントであるブルース・クリーマー(Bruce Kraemer)氏による特別講演が行われた。ここでは、その内容をレポートする。

▲定員の150名が満席となり、参加者のM2M/IoT分野への関心の高さが伺えた。

▲定員の150名が満席となり、参加者のM2M/IoT分野への関心の高さが伺えた。

M2M/IoTビジネスの創出を担うIoT推進委員会

写真1 インターネット協会 理事長兼IoT推進委員会委員長の藤原洋氏

写真1 インターネット協会 理事長兼IoT推進委員会委員長の藤原洋氏

〔1〕IoT推進委員会設立の目的と背景

 一般財団法人インターネット協会の新理事長であり、IoT推進委員会の委員長も務める藤原洋氏(ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO)は、同委員会の目的や体制、活動内容などについて説明した(写真1)。

 IoT推進委員会は、2015年4月1日に設立され、2015年7月29日に第1回の委員会が開催された。

 同委員会は、M2M/IoT時代を見据えて、情報通信産業と、建設業、運輸業、製造業、農業、医療などの各産業分野においてそれぞれが課題を共有しながら、横断的な関係を構築し、業界を超えてシームレスにビジネスを創出することを目的としている。

 その背景には、日本の人口問題や高齢化の課題がある。現在の国内人口は1億2,700万人だが、2100年には現在の約3分の2の8,300万人まで減少すると予測されている注3。また、米国や中国に比べて日本のGDPが伸び悩んでいるという課題もある。

 このような状況のなかで、今後の日本の発展にはM2M/IoTの活用が必須であり、そのためにはインターネットを利用したイノベーションが必要であることから、同委員会が設立された。

〔2〕委員会構成と3つのワーキンググループ

 IoT推進委員会の最高顧問には東京大学大学院 情報学環教授の坂村健氏、委員長には(株)ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼CEOの藤原洋氏、副委員長にシスコシステムズ合同会社 専務執行役員 最高技術責任者(CTO)の木下剛氏が就任した。

 同委員会の下には、表1に示す3つのワーキンググループ(WG)が設置され、活動を開始した。

表1 IoT推進委員会の3つのワーキンググループ(WG)(敬称略)

表1 IoT推進委員会の3つのワーキンググループ(WG)(敬称略)

〔出所:IoT グローバルビジネス戦略シンポジウム講演資料をもとに編集部作成〕

 同委員会は、今後、海外を含むIoTの関連団体と相互に情報交換を行い、協調し、連携することでM2M/IoTビジネスの普及発展を支援する。2015年11月には第2回の全体会議、12月には第2回シンポジウム、2016年3月には第3回シンポジウムの開催が予定されている。


▼ 注1
主催:一般財団法人インターネット協会 IoT推進委員会、後援:総務省、経済産業省、IEEE-SA(Standard Association)、ITRC(日本学術振興会 インターネット技術第163委員会)、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター、一般社団法人モバイルブロードバンド協会、(株)日本レジストリサービス

▼ 注2
IEEE-SA:IEEE Satandard Association、IEEE標準策定委員会。https://standards.ieee.org

▼ 注3
United Nations(国際連合)、「World Population Prospects The 2015 Revision」、http://esa.un.org/unpd/wpp/Publications/Files/Key_Findings_WPP_2015.pdf

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