[これだけは押さえておきたいスマートグリッド基礎用語]

EnergyIoTの鍵となる「OpenFMB」とは?

― SGIPが新たに開発する相互運用性のプロトコル ―
2015/11/30
(月)
新井 宏征 株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役社長

OpenFMBの基本アーキテクチャ

 OpenFMBの基本的なアーキテクチャは図1のようになっている。

図1 OpenFMBのアーキテクチャ

図1 OpenFMBのアーキテクチャ

出所 http://sgip.org/Open-Field-Message-Bus-OpenFMB-Project

 最下層にはパブリッシュ/サブスクライブ層(Pub/Sub Layer)とあることからもわかるように、OpenFMBはパブリッシュ/サブスクライブ型注5のアーキテクチャを採用しており、AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)やDDS(Data Distribution Service)、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)などに対応している。

 このようなパブリッシュ/サブスクライブ型のアーキテクチャは、HTTPなどと比べて軽量かつ省電力であるため、IoTに適したプロトコルだと言われている。

 その上のインタフェース層のOpenFMBでは、データモデルやプロファイル、設定、やり取りのパターンを規定する役割を担っており、上位層にあるさまざまなアプリケーションへの対応を実現している。

OpenFMBの今後:IICとの連携を強化

 このOpenFMBの取り組みに関する最新の状況は、2016年2月9日から開催されるDistribuTECH 2016(場所:米国フロリダ)で行われるデモで確認することができる。

 さらに、OpenFMBの取り組みはSGIPを超えた動きを見せている。その1つが米国における産業向けのIoTの取り組みを推進するIIC(Industrial Internet Consortium)との連携を強化するという発表である。もともとMOU(Memorandum of Understanding、覚書)を取り交わしていたSGIPとIICだが、2015年10月8日にはその連携を強化するプレスリリース注6を発表している。

 このリリースには、SGIPとIICがお互いのテストベッド(試験用プラットフォーム)を相互に利用し合う取り組みを行うことなどが書かれている。SGIP側はOpenFMBのプロジェクトメンバーが中心となってIICと連携し、EnergyIoTを実現する取り組みを行っていく。

 さまざまな垣根を乗り越えて進んでいくOpenFMBの今後の展開を、引き続き注視していきたい。

Profile

新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役社長。

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年よりプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社である株式会社スタイリッシュ・アイデアを設立。ICT分野におけるリサーチから得た最新の知見に基づき、企業に対するプロダクトマネジメント制度の導入や新規事業開発、製品開発の支援を行っている。


▼ 注5
パブリッシュ/サブスクライブ型:パブリッシュ(メッセージ発行者)とサブスクライブ(メッセージ受信者)の間で、サーバ(ブローカー)を介して1対多でメッセージの配布の管理を行う軽量なメッセージプロトコル。

▼ 注6
SMART GRID INTEROPERABILITY PANEL(SGIP)AND INDUSTRIAL INTERNET CONSORTIUM(IIC)ENHANCE LIAISON THROUGH TESTBED, TECHNOLOGY INTERLOCKS、http://sgip.org/SMART-GRID-INTEROPERABILITY-PANEL-SGIP-AND-INDUSTRIAL-INTERNET-CONSORTIUM-IIC-ENHANCE-LIAISON-THROUGH-TESTBED-TECHNOLOGY-INTERLOCKS

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