■注目を集めたOpenFMB(=EnergyIoT)のデモ
OpenFMB(Open Field Message Bus、オープンフィールドメッセージバス)とは、エネルギーに関する情報をやり取りする際に利用されるフレームワークである。このフレームワークによってさまざまなベンダのエネルギー機器が相互にやり取りすることができるようになることを指して、‘EnergyIoT’(エナジー・アイオーティー)とも呼ばれている。
OpenFMBは、米国においてスマートグリッドの標準化を推進するSGIP注1のなかのPAP(Priority Action Plans、優先行動計画)として取り組みが行われていて、米国第2位のユーティリティ(電力などの公益事業者)であるDuke Energy(デューク・エナジー)が中心となって現在仕様の検討が行われている。仕様の検討にはDuke Energy以外にCOW(Coalition of Willing、有志連合)に参加している25社の企業注2がかかわっており、日本企業としては伊藤忠商事が参加している。
同社は2015年2月にノースカロライナ州のMount Holly(マウントホリー)にあるDuke Energyの敷地内にマイクログリッドを構築し、OpenFMBの実証を行っている。
DistribuTECH 2016では、展示会場をマイクログリッドと見立て、マイクログリッド最適化のデモを行った。デモの参加企業はDuke Energyのほか、COWの参加企業がさまざまな役割を負っていた。例えば、伊藤忠商事の仲介によって参加している東芝は同社のμEMS(マイクロEMS)注3技術を使ったマイクログリッド内の需給バランスの調整などを行っていた。
写真2 Duke EnergyによるOpenFMBのデモの紹介
写真3 Duke EnergyのMount HollyのデモとDistribuTECH2016会場内のデモのデータを示している画面
▼注1
SGIP:米国の商務省の傘下のNIST( 米国国立標準技術研究所)が2009 年11 月に立ち上げたスマートグリッド相互接続性パネル。スマートグリッド関連の標準を開発するために、優先順位を決める行動計画(PAP:Priority Action Plans)の策定も担当した。SGIP は、2013 年にそれまでの政府が支援する組織ではなく独立した組織として、「SGIP 2.0Inc.」となったが、通常は「SGIP」と呼ばれている。
▼注2
ABB、AT&T、CalAmp、Cisco、Elster、Ericsson、GE、Green Energy、伊藤忠/東芝、Itron、Leidos Engineering、Moxa、National Instruments、Nokia、Omnetric、Parker Hannifin、Prismtech、RTI、S&C、Schneider Electric、SEL、Siemens、Sierra Wireless、Silver Springs Networks、Verisonの25社。今回、Green EnergyとPrismtech、RTIの3社は出展していなかった。
▼注3
μEMS:マイクロEMS。東芝が開発した給電・配電技術を融合した分散型電源及び蓄電池対応の監視制御システム