パートナー事業者:東芝とNTTデータの役割
〔1〕東芝:スマートメーター用通信システム(AMI)
具体的には、推進プロジェクトとして、東芝(ランディス・ギア)をリーダーとして、NTTグループ、日本電気が共同でシステム構築を行う。
「スマートメーター用通信システム」の受注内容は、図1に示すように、主に、
(1)システム構築全般
(2)スマートメーター通信部
(3)コンセントレーター(集約装置)
(4)ヘッドエンドシステム(データ収集および通信制御行う装置)
などの構築である。
(1)のシステム構築全般については、図1に示すスマートメーターの通信部からヘッドエンドまでのシステムとなるが、例えば、スマートメーターに関して国際的にも実績のある東芝傘下のランディス・ギアの通信システム技術や国際標準技術などが検討されている。
通常、スマートメーター用通信システムは「AMI」(Advanced Metering Infrastruc-ture)ともいわれ、スマートメーターからMDMS(Meter Data Management Sys-tem、メーターデータ管理システム)までを含む場合もあるが、ここでは、スマートメーターからMDMSの手前のヘッドエンドシステムまでとしている。
(2)のスマートメーター通信部については、「計量部と通信部の分離型メーター」と「計量部と通信部の分離型メーター」の2種類が認められているが、そのうち分離型の場合は「通信部のみ」がAMIに含まれる。
(3)スマートメーターとコンセントレーター間(Aルート)の通信であるFAN(Field Area Network、地域通信網)については、次に挙げる3つの方式が選定されている。
①無線マルチホップについては、920 MHz帯を使用する無線マルチホップ通信とする。
②PLC(電力線通信)通信については、欧州で実績の多いG3-PLC(ITU-T G.9903)などがマンション向けに検討されている。
③1対N(携帯電話回線)については、料金等も含めて当面3G回線を使用する。
これらの3つの方式の使用比率は、無線マルチホップ(920MHz帯)が67%(一般家庭)、PLCが7%(マンション)、1対N(携帯電話回線、当初は3G)が26%のシェアになると予想されている(東芝の提案)注4。
なお、このスマートメーターの通信は、IP(Internet Protocol)通信が原則であり、スマートメーターとMDMS間のデータ交換フォーマットは、国際標準のIEC 62056(DLMS/COSEM注5)標準が使用される。
〔2〕NTTデータ:スマートメーター運用管理システム
スマートメーター運用管理システムについては、推進プロジェクトとして、NTTデータをリーダーとし、東芝、日本HP(日本ヒューレット・パッカード)、日本GE(ゼネラル・エレクトリック)が共同で行う。
スマートメーター運用管理システムを受注したNTTデータの受注内容は、主に、MDMSの運用管理が中心である。MDMSとは、スマートメーターから送信されてきた情報を収集し、分析することによって、電力料金の設定や需要家に対して効率的なエネルギー利用を提供するシステムである。
具体的にMDMSは、
- メーターデータ管理
- スマートメーター設備管理
- ネットワーク管理
などの管理を行い、これらのシステム間の連携を行う。
MDMSに関しては、すでに東芝傘下のランディス・ギアは、米国のMDMSの大手ソフトウェア開発会社「エコロジック・アナリティクス(Ecologic Analytics、2000年設立。米国ミネソタ州)を買収(2011年1月)している。
同社は、電気やガス、水道設備などのスマートメーターから送信されてきた情報を処理することによって、課金情報システムの提供や盗電監視、故障検出、デマンドレスポンス(需要応答)、負荷予測などを行うMDMSのソフトウェアを開発し、実績のある会社である。このエコロジックのMDMSなどの導入が検討されている。
▼ 注4
携帯電話回線については、2013年3月から、総務省で利用料が安くなる方向で「電波利用料の見直しに関する検討会」が行われている。
▼ 注5
DLMS/COSEM:
DLMS:Device Language Message specification、IECのデバイス言語メッセージ仕様標準
COSEM:COmpanion Specification for Energy Metering、IECのエネルギー計測関連仕様の1つ