再生可能エネルギーの発電設備の導入状況
図4は、2013年5月末時点の日本の再生可能エネルギー発電設備の導入状況を示すが、日本の再生可能エネルギーは、平成23(2011)年度以前の累積導入量で見ると、
- 中小水力発電:960万kW(=940万kW(1,000kW以上)+20万kW(1,000kW未満)
- 太陽光発電:530万kW〔=440万kW(住宅)+90万kW(非住宅)〕
- 風力発電:260万kW
- バイオマス発電:230万kW
- 地熱発電:50万kW
という状況である。
図4 2013年度における再生可能エネルギー発電設備の導入状況(2013年5月末時点)
〔出所 資源エネルギー庁 平成25年8月20日、http://www.meti.go.jp/press/2013/08/20130820005/20130820005-2.pdf〕
発電設備の累積導入量では、風力発電は従来の中小水力発電に負けるものの、平成24(2012)年4月〜平成25(2013)年5月末までの運転開始設備容量の導入状況を見ると(赤枠で囲んだ部分)、再生可能エネルギー全体の導入は約335.9万kWのうち、太陽光発電の321.5万kWが圧倒的に多いが、次いで風力発電が6.5万kW、中小水力発電が0.4万kWの順の導入量となっている。
陸上風力発電と洋上風力発電の比較
再生可能エネルギーのうち、風力発電は大きく分けて、図5に示す陸上風力発電方式と洋上風力発電方式がある。陸上風力の場合は、基本的に、通常の火力や水力と同じような電力システムとなっている。
図5 陸上風力発電方式と洋上風力発電方式の仕組み
〔出所 NEDO「洋上風力発電の取組について」、2013年7月16日〕
しかし、図5を見てわかる通り、洋上風力は海の中にあるので、海底ケーブルという送電線を使って洋上風力発電所から電気を陸上へ送る仕組みとなっている。
送電距離が遠い場合、すなわち洋上発電所が陸から30㎞以上離れている場合は、発生した電力を昇圧(電圧を上げること)して送らないと、距離があるため送電ロスが大きくなる。このため、図5の下図に示すように、場合によっては、洋上風力発電所に洋上変電所を設置して昇圧する必要がある。
風車の発電機電圧は、700V程度(北九州市沖の場合は660V)であるが、銚子沖(発電電圧690V)の場合、発電側は2万2,000Vに昇圧して陸上変電所に送電されるが、陸上変電所では逆に降圧して6600Vにして、系統に送る仕組みとなっている。
一方、北九州の場合は、最初から洋上風力発電所内で6600Vに調整して送電しているので、陸上開閉所を経由して系統につないでいる。とくに、海外の洋上風力発電の場合には、離岸距離が離れているので、図5の下のような形態が多い。
大体の目途として、陸から30㎞の沖合に風力発電所を設置する場合になると、洋上変電所が必要になる。この点が陸上風力発電と洋上風力発電の違いである。
さらに、洋上風力発電の場合は、陸上風力発電と違って海で工事をするため、その工事費が陸上に比べてかかること、また洋上の基礎工事の部分も陸上と違ってかなりコストがかかってしまう点が、陸上風力発電と洋上風力発電の工事面でのコストの違いとなっている。
陸上風力発電と洋上風力発電の発電コストを比較
ここで、陸上風力と洋上風力の発電コストを比較してみると、表3、表4に示すようになる。
〔1〕国際的な風力発電のコスト
表3を見ると、陸上風力発電の発電コストは、国際的にほぼ10円/kWh前後であり、最も風況(風の向きや風速などの状況のこと)のよいところで6.5円/kWh程度である。
表3 世界の風力発電の発電コスト
〔出所:NEDO再生可能エネルギー技術白書、http://www.nedo.go.jp/library/ne_hakusyo_index.html〕
一方の洋上風力発電は、陸上風力よりも風況がよいため、陸上と比べて約50%程度多い発電量が得られる。このため、陸上風力よりも高いシステム価格をある程度まで相殺するものの、その発電コストは陸上風力より若干高めとなっている。
〔2〕日本における風力発電コスト
表4に、日本における風力発電コストを示す。
表4 日本における風力発電コスト
〔出所 NEDO再生可能エネルギー技術白書、http://www.nedo.go.jp/library/ne_hakusyo_index.html〕
日本では洋上風力発電の本格的な実証試験が始まったところであるため、商用ベースの発電コストは算出できない。このため、陸上風力だけの発電コストを見ると、風力発電所の総出力規模が、
- 30MWと大規模の場合の発電コストは10円/kWh程度、
- 5MW前後の場合は14円/kWh、
- 600kW〜3MWの場合は18〜24円/kWh
と試算されている。
総出力規模が大きいほどシステム価格や運用・保守費が割安になると見られており、その結果、k/whあたりの発電コストは低くなるとされている。