来場者を驚かせたOpenADRのデモ・展示
すでに東光電気は、経済産業省のデマンドレスポンス(DR)の実証試験について、「次世代エネルギー・社会システム実証事業」(2013年度予算)の第三次公募注1に応募し、採択されるなど、DRアグリゲータへの可能性にチャレンジしている(写真1)。
▲写真1 電力事業者とアグリーゲータ、電力需要家(ビルや家庭等)の間で、ピーク電力需要の削減などの制御を行うOpenADR(自動型デマンドレスポンス)の展示・デモ。
同実証は「インセンティブ型デマンドレスポンス」で、2013年度中に必要なシステム開発や構築などを行い、2014年度から本格的に実証を開始する。
同社はこれに先立って、写真2に示すように、2006年10月にベンチャー企業「ワイヤレス・グルー・ネットワークス」(米WGN、シリコンバレーに設立)と共同で、OpenADR2.0b仕様(電力の需給制御プロトコル)に基づいた、アグリゲータDRAS(OpenADRサーバ)とFulcrum(OpenADRゲートウェイ)を開発している。Fulcrumは、「STiNCⅡ」(写真3)に実装されている。
▲写真2 写真1の具体的なOpenADRの仕組み。電力会社のOpenADR準拠の電力DRASとアグリゲータDRAS「Vertec」。
▲写真3 多機能な汎用ゲートウェイ装置STiNCⅡの外観(キーデバイスの1つ)
また、写真2に示す電力会社側の電力DRASは、アグリゲータDRAS(Vertex)と連携して、需要家側のスマートメーター(ECHONET Liteを実装)へのDRイベント参加依頼などを通知する。このアグリゲータDRAS(Vertex)は、ECHONET Liteへのゲートウェイとなっている(写真2右の表は各用語の説明)。
このような先進的な取り組みは、来場者から高い関心が寄せられた。
マンション一括受電「自動検針システム」
マンションなど集合住宅では、各世帯が電力会社と個別の受電契約をするのではなく、集合住宅全体で高圧の電力を一括で受電し、それを低圧にして各世帯に分配することによって、電気料金を引き下げることができる。このため、MEMS(Mansion Energy Management System、マンションエネルギー管理システム)への関心が高まっており、すでに24社のMEMSアグリゲータが登場し、新ビジネスを展開している。
MEMSアグリゲータは、マンションにMEMSを導入するとともに、クラウド等によって自ら集中管理システムを設置し、補助事業者に対しエネルギー管理支援サービスを行うエネルギー利用情報管理運営者として、執行団体であるSII(環境共創イニシアチブ)に登録を受けた事業者を言う。
写真4に、東光電気が提案するマンション(MEMS)における自動検針システムの構成図(WH:電力計、SmaMe)を示す。ここに示す既存の物件には、PLCモデムを内蔵したスマートメーターが電力線で接続され、また新築物件には、RS-485インタフェースを内蔵したスマートメーターが設置される。
▲写真4 マンション(MEMS)における自動検針システムの構成図(WH:電力計、SmaMe)
RS-485は、接続台数は最大32台で伝送速度は10Mbps、最大伝送距離は1〜1.2㎞と長い。PLCとRS-485は、いずれもIDF(In-termediate Distribution Frame、分電盤)に集約され、トータルなエネルギー管理が行われる。
写真5は、このようなマンションの一括受電自動検針システムに使用される機器の例である。
▲写真5 一括受電自動検針システムに使用される機器の例。左からRS-485接続の60A型SmaMe(スマートメーター)、PLC接続のSmaMe、PLC変換器(PLCモデム)、自動検針装置(STiNCⅡ)
▼注1
第三次公募では6件の提案が採択された。