古くて新しい試み:デマンドレスポンスとは
活発化するスマートグリッドの展開を背景に、最近、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)という言葉を一般の新聞でも見かけるようになった。デマンドレスポンスは、スマートグリッドの仕組みと同時に語られることが多いため、DRも先端技術の1つと思われがちであるが、実は、古くて新しい試みなのである。
デマンドレスポンス(DR)とは、
電力会社等電力を供給する側から発せられるピーク需要削減等の要望に応じて電力需要を変更する仕組みのこと
ということができる。具体的には、例えば天気予報で翌日の最高気温の予想が35℃で電力需要が大幅に増えそうな場合、電力会社(電力供給側)はピーク時間帯にあまり電気を使わないよう要望(Demand)すると、一般家庭やオフィス、工場など(電力の需要側)がエアコンのスイッチを切るなどの行動を起こし(Response)、ピーク需要削減を果たすような仕組みである。
このDRは、「ピーク時の電力需要を抑制する仕組み」として紹介されることが多いが、そればかりではない。日本でも古くから行われていた大口需要家注1向けの需給調整契約注2も、DRの一種なのである。また、季節別時間帯別料金契約も、ピーク需要時間帯の電気料金が高く設定されピーク需要削減を促すので、ダイナミック料金ではないが、DRの一種である。
▼ 注1
大口需要家:電力会社との契約電力が500kW以上の需要家。これに対し小口需要家とは、契約電力が500kW未満の事業者をいう。
▼ 注2
電力会社から事前通告することによって、電力の使用の一部または全部を抑制できる契約。