[クローズアップ]

「デマンドレスポンス」とは? その進化・発展とOpenADR標準

─日本でも本格的な審議がスタート─
2012/11/01
(木)
新谷 隆之 インターテックリサーチ株式会社 代表取締役

スマートグリッドの急速な進展とともに、スマートハウスなどの電力使用量の制御や料金課金方式に関するデマンドレスポンス(DR:電力の需給制御)が、キーワードとして急浮上してきた。ここでは、デマンドレスポンスとは何かを解説しながら、米国のサービスを紹介する。さらに、OpenADR の標準化動向にふれ、最後に日本の取り組みを簡単に紹介する。

古くて新しい試み:デマンドレスポンスとは

活発化するスマートグリッドの展開を背景に、最近、デマンドレスポンス(DRDemand Response)という言葉を一般の新聞でも見かけるようになった。デマンドレスポンスは、スマートグリッドの仕組みと同時に語られることが多いため、DRも先端技術の1つと思われがちであるが、実は、古くて新しい試みなのである。

デマンドレスポンス(DR)とは、
電力会社等電力を供給する側から発せられるピーク需要削減等の要望に応じて電力需要を変更する仕組みのこと
ということができる。具体的には、例えば天気予報で翌日の最高気温の予想が35℃で電力需要が大幅に増えそうな場合、電力会社(電力供給側)はピーク時間帯にあまり電気を使わないよう要望(Demand)すると、一般家庭やオフィス、工場など(電力の需要側)がエアコンのスイッチを切るなどの行動を起こし(Response)、ピーク需要削減を果たすような仕組みである。

このDRは、「ピーク時の電力需要を抑制する仕組み」として紹介されることが多いが、そればかりではない。日本でも古くから行われていた大口需要家注1向けの需給調整契約注2も、DRの一種なのである。また、季節別時間帯別料金契約も、ピーク需要時間帯の電気料金が高く設定されピーク需要削減を促すので、ダイナミック料金ではないが、DRの一種である。


▼ 注1
大口需要家:電力会社との契約電力が500kW以上の需要家。これに対し小口需要家とは、契約電力が500kW未満の事業者をいう。

▼ 注2
電力会社から事前通告することによって、電力の使用の一部または全部を抑制できる契約。

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